企業側の立場から感じる監査法人の交代制について

2ヶ月ほど前になりますが、「金融庁が監査法人の交代制の導入を検討している」という記事が新聞に載っていました。

メリットやデメリットについてもいろいろな意見が出ているようです。

私は公認会計士ではないので、監査法人や会計士の仕事についてコメントする立場ではありませんが、監査を受ける企業側の立場としてはいろいろと感じるところもあります。

監査法人の交代制が検討されることになったきっかけ

昨年から世間を賑わせた東芝の不正会計問題がきっかけになっています。

この不正会計問題とは、東芝が過去7年(以上)にわたり合計2,000億円超の利益を水増ししていたとされるものです。

そして監査を担当していた監査法人が、それらの一連の不正な処理を見逃していたということが大きな問題として取り上げられてきました。

会計監査に関する有識者会議のなかで、企業側と監査法人との馴れ合いを防ぐためにも「監査法人の交代制を導入したほうがよい」という意見が出ているようです。

交代制にするメリットとデメリット

従来、監査法人を頻繁に変更するということはあまり考えられませんでした。

何年、何十年と同じ監査法人と契約し続けているという会社も多いです。

会社はお金を払って監査してもらう監査法人はお金をもらって監査する、というなんとも微妙な関係ですが、お互いの理解が進んでいて余計な手間がかからないというのが、同じ監査法人と契約し続けている大きな理由、メリットかと思われます。

では、監査法人の交代制が導入されることになった場合、メリットとデメリットはどのようなものになるでしょうか。
いろいろな立場の人たちがいろいろな意見を言っていますが、ざっくりくくると、次のような意見に集約されるようです。

メリット:企業と監査法人の馴れ合いを防ぐことができる。
デメリット:交代当初の負荷が増大、監査の質が下がる可能性がある。

企業側の立場から感じる交代制導入について

交代制が導入されると、複数の監査法人と契約交渉をすることになります。
その結果、監査報酬を下げられる可能性が出てくるというのは、会社にとって大きなメリットの1つになるかもしれません。

また、デメリットである「業務負荷の増大」はある程度やむを得ないかもしれません。
今まで必要なかった説明や資料の提出が求められることになるかもしれませんが、普段からそういうものだと考えて備えておけば、それほど大変なことではないようにも感じます。

同じくデメリットとして、「監査の質が下がる」ことも懸念されているようです。
その理由はよく理解できていません。

監査法人を交代した場合に過去からの蓄積がなく、一から監査することになるため
・大企業相手では内容を把握しきれない。
・監査で重要なことを見落とす可能性が出てくる。
ということなのかもしれません。

「過去からの蓄積に基づき、前回までと同じ資料で大きな変化がなければOKとしてしまう(ありがちな)監査」と「前回までに引っ張られない目で一から確認する監査」、大きな不正や誤りに気づく可能性が高いのは後者ではないかと感じています。

ということで、自分なりの結論としては
・一般論として望ましいと感じるのは「交代制」
・ただし企業の実務担当としては、業務負荷が増えるリスクがある以上は「交代制」反対
ということになりました。

会計の世界だけではありませんが、ごく一部のモラルの低い人たちのせいでその他大勢の真面目にやっている人たちが馬鹿を見るような「制度改正/仕組み作り」だけは避けてほしいと願っています。

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【編集後記】

昨晩は某所にある人気の焼き鳥屋さんに運良く入ることができました。
満席で入れないことが2〜3回続いていたのですが、雨の月曜日というのが良かったのかもしれません。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

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