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法人税の確定申告期限を延長するという選択

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多くの会社が法人税などの確定申告書を決算日から2ヶ月以内に提出しているのではないかと思います。

この2ヶ月という提出期限は、延長することが可能です。

法人税などの確定申告期限は延長可能

法人税、住民税、事業税については、決算日から2ヶ月以内に確定申告書を提出し、税金を納付しなければならないというルールがあります。

3月決算=>5月31日まで
12月決算=>2月28日まで
といった感じです。

このルールに従って2ヶ月以内に申告・納付するのが当然と考えている方が多いかもしれませんが、一定の条件を満たせば、この「2ヶ月」という申告期限を延長することが可能です。

確定申告期限の延長が認められるパターン

確定申告期限の延長が認められるパターンには、次のようなものがあります。

総会が2ヶ月以内に開催されない場合=>3ヶ月以内に延長可能

法人税の確定申告をする場合、その基礎となる決算書は株主総会で承認されたものである必要があります。

もしも定款で「決算日から3ヶ月以内に株主総会を開催すること」と定められている場合、どうなるでしょうか?

決算日から2ヶ月以内には決算書が承認されていない可能性があり、当然、確定申告をすることもできません。

このように、定款などで2ヶ月以内に株主総会が開催されないこととなっている場合には、申告期限の延長が認められるということになります。

ちなみに、定款を「2ヶ月以内に株主総会を開催する」から「3ヶ月以内に株主総会を開催する」に変更すれば、延長を受けることができるということになります。

上場会社の場合、会計監査を受けなければならず、決算作業にも時間がかかります。

そのため、定款で株主総会を3ヶ月以内に開催することとし、申告期限の延長を受けているという会社が多いのではないかと考えています。

平成29年度税制改正で加えられたパターン

上記の3ヶ月以内の延長は、以前から認められているルールでした。

それに加えて、平成29年度税制改正でさらにこの提出期限の延長が認められることになっています。

株主総会の分散化を図ることを目的として、
・監査法人による会計監査を受ける必要がある会社であること(上場会社、大会社など)
・定款等で、決算日から3ヶ月以内に株主総会が開催されないこととなっていること
という条件を満たすと、本来の期限(2ヶ月)から4ヶ月間延長することができることになりました。

つまり決算日から6ヶ月以内が申告期限ということになる可能性もあるわけです。

3月決算=>9月30日まで
12月決算=>6月30日まで

かなり長い印象です。
何よりも、すでに翌事業年度が半分過ぎたところで、前事業年度の話をしても・・・という気がしてしまいますね。

念のための注意点

税金の納期限延長ではないことに注意

確定申告期限の延長は、一定の要件を満たせば認めてもらうことができますが、税金の納期限延長が無条件に認められているわけではありません

延長した期間については利子税(ペナルティではなく、利息のイメージ)が課されてしまうということに注意が必要です。

・決算日:3月31日
・本来の申告/納付期限:5月31日
・延長による申告期限:6月30日
という会社の場合、6月末に税金を納付した場合、6月部分について利子税がかかってしまうということです。

申告期限の延長を認めておきながら利子税を取られるの?という気もしますが、それが「公平」という考え方なのでしょう。

この利子税を払わないためには、
・申告書未提出でも、概算金額で5月末に納付しておく(少し多め)。
・6月に申告書提出。
・差額を還付してもらう。
という方法しかありません。

このように、「なんの負担もなしに納期限までも1ヶ月延長できるというわけではない」ということは理解しておかなければいけません。

申告期限の延長が認められるためには届出が必要

申告期限の延長が認められるためには、税務署や県税事務所等への届出が必要です。

いくら定款などの要件を満たしていたとしても、届出がなければ認められませんので、手続きを忘れないように注意しましょう。

なお、届出にも期限が定められていますので、念のため。

消費税は申告期限延長の対象外

今回見てきた申告期限の延長ですが、消費税については認められていません。

決算日から2ヶ月以内が申告・納付期限ということになります。

「法人税が3ヶ月以内だから消費税も同じでいいかな」などと勘違いしてしまわないように注意が必要です。

おわりに

「納期限が延長されないなら、あまり旨味もないな」と感じる方がいるかもしれません。
もしそうなら、わざわざ定款を変えたり届出を出したりする必要もないかもしれません。

逆に、決算月の翌月や翌々月が繁忙期であるなど、「申告書作成業務に1ヶ月でも余裕を持てれば安心。」ということであれあb、申告期限の延長を検討してみる価値はあるのではないでしょうか。


【編集後記】

昨日はPING新製品の発売日でした。
予約していたものが少しずつ届き始めました。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

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