「逃げ得」「やり得」の抑止力になる？？国税庁が公表した所得税と消費税の調査結果。

先日、国税庁が平成29事務年度（平成29年７月〜平成30年６月）に実施した税務調査の結果が公表されました。

所得税の調査結果

今年も国税庁から所得税・消費税の税務調査の結果が公表されました。

日経新聞のWEB版ニュースでも
「所得税申告漏れ計9千億円　国税庁、仮想通貨取引事案を初公表」
という見出しで記事が書かれていました。

公表された資料では、平成29事務年度（平成29年７月〜平成30年６月）に行われた税務調査等で発見された申告漏れの件数や金額が紹介されています。

税務調査というのを以下の３種類に分けて、それぞれについて集計が行われています。

１．特別調査・一般調査
高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に、深度ある実地による調査

２．着眼調査
特定の事項などに申告漏れ等が見込まれる事案には、短期間で行う実地による調査

３．簡易な接触
文書、電話による連絡または来署依頼による面接により、申告漏れなどを是正する接触

これらをすべてひっくるめた合計で

・調査等件数：622,637件（前年比96.2％）
・申告漏れなどがあった件数：383,908件（前年比95.9％）
・申告漏れ所得金額：9,038億円（前年比101.7％）

という結果だったようです。

合計すると件数も多く、金額も大きくて、あまりピンときませんね。

で、１件あたりの申告漏れ所得金額は、145万円です。

これが大きいと感じるか、そんなものなの？と感じるかは個人次第だとは思いますが。

＊特別調査・一般調査：1,021万円
＊着眼調査：351万円
＊簡易な接触：57万円
というのが、調査の種類ごとの内訳のようです。

また、１件あたりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種が載っています（特別調査・一般調査の結果）。

１位：キャバクラ
２位：風俗業
３位：不動産代理仲介
４位：システムエンジニア
５位：機械器具、部品修理
６位；焼肉
７位：冷暖房設備工事
８位：人材派遣
９位：バー
10位：ダンプ運送

業種の管理が細分化されたりして、一概に前年と比較できないものもあるなか、不動産代理仲介は前年14位から大きく順位を上げてしまいました。

不動産関係の好況の結果、大型の案件が増えていたりするのでしょうか。。

なんだかんだ、まあだいたい似たような業種が上位がきているものですね。

所得税とあわせて、消費税の調査結果も公表されています。

所得税を過少に申告することで意図的に消費税の申告を免れていたり、課税／非課税の判定誤り、計算上の誤りなどが対象で、やはりそれなりにあるようです。

・調査等件数：87,550件（前年比100.9％）
・申告漏れなどがあった件数：62,205件（前年比101.9％）

消費税の場合、所得税と比べると「うっかり間違えてしまった」という割合がそれなりに大きい気もしますが、実際のところはどうなのでしょうか。

資料からだけでは読み取れないのですが。

資料の最後にトピックスとして、今年積極的に調査を行っていくものが紹介されています。

＊海外投資等を行っている個人の調査
＊富裕層（非常にざっくりですが！？）
＊無申告者に対する調査
＊インターネット取引を行っている個人の調査

気になる方（！？）は、国税庁のサイトでコメントを見てみると良いかもしれません。

「申告漏れがそれなりにある」と国税側が考えているからには、それなりの根拠もあるのでしょう。

このような結果を公表することは、脱税などを「逃げ得」「やり得」と感じさせないようにするという抑止力につなげようというのも、１つの趣旨かと思います。

ただ、はたして抑止力になるのだろうか？とちょっと疑問に感じたりもしています。

このようなニュースを見て「ヤバイ」「気をつけなきゃ」と思う人は、そもそもそんなことはやらない気もしますし。

むしろ、自分はそれでもバレないだろうくらいに考えて、安易にやってしまっている人が多いのかなと。。

もちろんそのような考えの人の本心は分からないのですが。。

また、自分が事業としてやっているという感覚が無いまま、申告すらしていない、なんていうケースももしかしたらあるのかもしれません。

もしも少しでも気になるなぁ・・・という人は、まずは誰か身近で相談できそうな人に聞いてみると良いのではないかと思います。

【編集後記】

ここのところ少しPCの調子が悪いです。
いつの間にか、ハードディスクの空き容量が少なくなっているという警告も出ていますし、ちょっといろいろと調べてみようかと思っています。

【昨日の１日１新】
＊「１日１新」とは→詳細はこちら

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