「まずは簿記を勉強しよう」はナンセンスかも?ただし仕訳の考え方と財務諸表の見方は知っておいたほうがよいです!?

「まずは簿記を勉強したら?」と言われた経験がある人は結構多いのではないでしょうか。
あえて書いてしまうと、それってナンセンスだよな・・・なんて思っています。

「まずは簿記を勉強しよう」が通じるのは経理担当者くらい!?

経理に関する知識を増やす=簿記を勉強するところから。
と条件反射のように考えている人、結構多いかもしれません。

一方、「簿記」と聞いて、「大好き!」「楽しい!」と思える人はかなりの少数派、マニアではないかと思います。

私自身、学生時代、簿記の授業を1年間受講しました。
今から考えても、イマイチな授業内容だったように記憶していますが、それを差し引いたとしても、やはり面白いとは思えない内容でした。

かろうじて成績も「C」(合格の中では最低評価)でなんとか単位を取得できたという状況でした。
そんな程度しか理解できていなかったから面白くなかったのかもしれませんが!?

で、何が一番面白くなかったのか?を振り返ってみると、
・何に使われているのか分からない
・何に役立つのか分からない
・実務でどのような知識が必要になるのか分からない
など、全般的に腹落ちしないことだらけだった、ということだったのかなと。

その後、社会人になり、営業の仕事をしながら税理士資格を取ることを決め、最初にやり始めたのが「簿記」の勉強でした(日商簿記2級・3級)。

経理のことが分からない典型的な営業マン(?)だったこともあり、やはり簿記の内容もチンプンカンプンで、最初はとても面白いとは思えませんでした。

だからこそ
・実務で携わっていない
・実務でもそれほど必要ではない
・知識が無いよりは有ったほうがよいという程度
という状態で簿記を勉強しても、使える知識は身につきにくく、しかも全く面白くないという「苦行」でしかないのではないかと思ったりしています。

ある程度、実務で経理処理などをこなしていて、そのときに簿記や仕訳の知識の必要性を認識し、そこから学び始めるのであれば効果的だと思いますが、そうでなければピントこないことのほうが多い気がします。

・財務諸表が読めればOK
・最低限の仕訳が理解できればOK
という程度であれば、あえて簿記の勉強から始める必要があるのかな?(ないのでは??)ということですね。

にもかかわらず、「まずは簿記」という考え方がなくならないのは何故なのでしょうかね。

ちなみに、例外があって、
・経理部で仕事をする
・会計士、税理士など資格を取るために簿記から逃れられない
・簿記が好き(かも)
であれば、「ガッツリと簿記を勉強しよう!」から始めるのもやむを得ないことだとは思っています。

といいつつ簿記の知識、仕訳の考え方は知っておいて損はない

前述のように、「簿記そのものが不要」と考えているわけではなく、何も分からないときに「まずは簿記」はあまり効果がないのではないかな、ということです。

複雑な問題は図にすると理解が深まると言われますが、それと同じで、複雑な取引も「仕訳」で考えて整理すると、それなりにすっきりと把握することができたりもしますので。

たとえば、社有車を下取りに出して新しい車を購入するようなケース。
・現在の社有車は300万円で購入した。
・期首までの減価償却累計額(減価償却の合計)は180万円。
・下取りの評価は50万円。
・新しい車の値段は300万円。
・自動車保険、自賠責保険などの精算あり。
・リサイクル預託金の精算あり。
・購入時、売却時とも消費税の課税対象。

どんな感じでしょうか。
このままだと
「どう処理すればいいの?」
「損したの?得したの?いくら??」
となってしまいそうですが、仕訳ならきれいにまとまります(割愛しますが)。

こんなときには、簿記あるいはせめて仕訳の考え方をある程度知っておくと、かなり楽になるのだろうと思いますし、多少手間がかかる仕訳が処理できれば、とりあえずはそれで十分なのではないかなと思っています。

仕事のなかで仕訳を入力したり、財務諸表を読んだり、という仕事をしていると、何が分からないかがだんだん分かってくるようになります。

「実務に使える」ことを目的とするなら、そのタイミングで「学ぶ」ことが、大切なのだろうと考えています。

何も分からない、何もやっていないときに学んでも
「はあ・・・」
でも、
ある程度仕事をやりながら、いろいろなアンテナが立っているところで学ぶと
「なるほど!」
となることは多いのではないでしょうか。

大切なのは財務諸表の見方

ちなみに経営者の方の場合は、当然のことながら、大切なのは「簿記の知識」ではなく、「財務諸表の見方/考え方/改善の仕方」だと思います。

・貸借対照表
・損益計算書
だけでなく、
・キャッシュ(お金)の流れが分かる資料(キャッシュ・フロー計算書のようなもの)
あたりを、さっと見て、ある程度の判断ができる程度になっておくと楽なのかなと思います。

以前、勤務していた会社で社内転職(営業=>経理)の面接を受けた時、
「簿記論よりも財務諸表論のほうが実務で役立つよ。」
と言われたことがありました。

上場企業だったので、開示なども含めて財務諸表作成のための知識が必須だったということもありますし、その過程では自然と簿記も学ぶことになる、ということもあったのでしょう。

当時はその意味すらもよく分かっていなかった気もしますが、たしかにそうだったなと思います。

財務諸表を読めるようになりたい、でも簿記は面白くなさそう、と感じている方は、両者を分けて考えてしまうと良いと思います。

財務諸表の読み方をわかりやすく解説してくれている本はいろいろとありますので。

最近ではこの本も面白かったので、読んでみてもよいかもしれません。

あとは顧問税理士に「簡単にレクチャーしてよ!」と言ってみるのもアリかもしれません。
税理士次第で、「伝える能力」には大きな差があるとは思いますが・・・


【編集後記】

数ヶ月間、関わってきた業務が一区切りつきました。
いろいろな経験、学びがありましたが、これ以上継続することにはデメリットしかないので、そろそろ終わりにすることにしました。
気を遣って、結論を出すまでに時間をかけ過ぎてしまったことが反省です。。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

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