接待飲食費に関する減税策は誰のため?積極的に支出を増やす会社がどれくらいあるのか??

少し前の日本経済新聞に、「大企業に対して交際費の支出を促す減税策」の効果があまり出ていないという記事が出ていました。

法人税における交際費の基本的な考え方

交際費については、原則として損金に算入されない(税金計算上の経費として認められない)こととされています。

かなり以前は損金に算入されていたものの、昭和29年度の税制改正で初めて、大企業に対する交際費課税の強化が初めて行われたようです。

理由は「冗費を抑制して企業体質を強くするため」とのこと。

書籍や記事などによると、当時は過度な接待交際が問題となっていたようです。

つまり「交際費を使ったもん勝ち」というような風潮に歯止めをかけるのが主目的であったものと思われます。

そして、その後も課税が強化されて、昭和57年度の税制改正で「原則としてすべて損金不算入」という取扱いになりました。

大企業に対する交際費の減税策

日本経済新聞の記事では、効果が出ていないのは「2014年度から始まった減税を促す制度」となっています。

これは平成26年度の税制改正で、大企業(資本金が1億円超)について、交際費のうち接待飲食費の50%を損金に算入することができることになった制度を指していると思われます。

この減税策は、交際費の一部を損金として認めることにより、飲食費の支出を増やして経済の活性化を図ることが目的とされています。

たしかに接待飲食が多い会社にとっては、50%を損金算入することができれば、それなり税金が減らせることは間違いないでしょう。

ちなみに、適用を受けるためのざっくりとした注意点としては
・あくまでも接待のため、相手が社外であることが必要。
・対象は飲食に限られるため、飲食以外の接待(ゴルフなど)は対象外。
・接待の内容が分かるような一定の書類の保管が必要。
などがあります。

似たものとして、「1人当たり5,000円以下の社外との飲食費は損金に算入できる」という制度もありますが、それとは別のものになります。

(参考)中小法人における交際費の取り扱い

なお、中小法人については、交際費は年800万円まで損金算入することができます。
これは飲食に限らず、すべての交際費に当てはまります。

税制改正に関する資料(中小企業庁作成のものなど)によれば、特例を認めている理由は
・交際費は事業活動に必要不可欠な経費であり
・販売促進手段が限られる中小法人を支援するため
とされています。

一見もっともらしくも読めますが、
・大企業と中小法人で扱いを変える必要があるのか?(交際費の取扱いで中小法人を特別に
 支援する必要があるのか?)
・もともとの趣旨である「冗費の抑制」という考え方との矛盾はどう考えるのか?
という点では大いに疑問が残ります。

大企業は減税策によって行動が変わるのか?

現在私が勤務している会社では、この税制改正による減税策を受けても、
「交際費が50%損金に算入できることになったために、接待飲食費をガンガン使おう」
という雰囲気は一切ありません。

極端なことを言えば、経理部門で経費処理の方法が面倒になっただけ、という感じです。

おそらく、多くの会社が
接待飲食費が損金に算入できるかどうかで日々の行動に変化は生じていない。」
というのが実状ではないでしょうか。

結局のところ、今回の減税策は
・税収が減った。
・景気刺激策としても不発だった。
というだけの結果に終わったと言っても良いのではないかと思います。

今のご時世、税の優遇があることを理由に、冗費を増やそうと考える会社は少ないはずです。

飲食費の支出を増やして経済の活性化を図ることが減税策の目的と考えた場合、100歩譲って、中小法人には交際費の特例を認めたとしても、大企業にまで優遇税制を設ける必要が本当にあるのか?については、検討しなおすべきタイミングがきているのではないでしょうか。

最後に

こうして改めて考えてみると、大企業に対する減税策が景気刺激策としてあまり効果がないのは、当然の結論ではないでしょうか。

むしろ検討段階で、飲食関連の支出が増えて景気回復に貢献するなどと本気で思っていたのだとしたら、そちらのほうが不思議というか。。。

とはいえ、会社側の立場ではせっかく減税策が認められているわけですから、適用できる場合には、きちんと要件を満たしてメリットを享受できるようにしておかなければなりません。

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【編集後記】

やりたいこと、やらなければいけないことが山積状態で、やや消化不良気味の日が続いてしまっています。
もう少し時間の使い方、優先順位のつけ方を工夫しなければいけないと反省です。

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