経理関係の業務では、金額基準で判断する(少額だからOK)ケースがありますが、なんでもかんでも使えるわけではないことは考えておく必要があります。
「金額が小さいからOK」という考え方
・どのように経理処理をするか?
・税務上、どのように取り扱うか?
を考えるときに、しばしば見受けられるのが「金額が小さいからOK」という基準です。
結構便利にこの金額基準を使っているケースも多いのではないかと思います。
厳密には「OK」というよりも「仕方ない」という感覚ではありますが。
・勘定科目はどっちがよいかな?
・期ずれ、月ずれになっちゃってるけど?
・原価計算で配賦基準が間違えてる・・・
など、いろいろとあるのではないでしょうか。
私も経理の仕事を始めて間もない頃、
あっ、そういう考え方もありなのね・・・
なんて感じたことを覚えています。
・少額だからどっちでもいいよ!
・たいして影響ないでしょ!
なんてことから
・あまりこだわっても意味ないんじゃない??
みたいなものまで。
経営者や経理関係の業務に携わっている人であれば当たり前の感覚も、それ以外の人からすると「へ〜」という感じかもしれませんね。
経理って1円単位まで合わせるんじゃないの??
なんて感覚の人も多いでしょう。
もちろん「1円単位」が必要な場面もあります。
お金の残高を合わせるなんて、誤差があったら困りますので。
逆に、そもそも「千円単位」「百万円単位」などで作っている資料では、切り捨てられる金額なんてどちらでも良い、ということになります。
このように使い方によっては便利な金額基準ですが、
重要性がない、少額だったらなんでもOKなのか?
といえば、決してそんなことはありません。
「総額の把握」と「そもそも正しいのかどうかの判断」は必ず必要になります。
総額の把握は必須
・少額だからOK
・仕方ない
と判断するとして、
それらが総額でいくらぐらいになるのか?
は把握しておく必要があると考えています。
たとえば、期ずれ(本来計上すべき期の前期とか翌期に計上してしまうこと)があった場合で考えてみると、
期ずれの取引が総額でいくらくらいか?
をしっかりと把握しておいたほうがよいということです。
1件の期ずれは100万円だったとしても、もしも
全部で10件もあれば、総額1,000万円が期ずれになっている
ということになります。
100万円のつもりで「少額だから期ずれもやむなし」と判断したとしても、
実は1,000万円もの金額が期ずれになっていたら「少額だから・・・」とは言えないでしょう。
「ちりつも」も侮れませんので!
そもそも正しいのかどうか?の確認も忘れずに!?
また、結論としては「金額が小さいからOK」と考えるとしても、
・どちらでも良いからOKなのか?
あるいは
・本当はダメだけどやむを得ないだけなのか?
ははっきりさせておいたほうがよいです。
たとえば
・どちらの勘定科目にするか?
であれば、本当に悩ましいケースもありますし、
必ずしも間違いではない(=少額だからどちらでもOK)
という判断になるでしょう。
一方、
・本当は先月の費用だったけど、精算漏れで今月計上になってしまった
・本当は固定資産の取得価額に含めるべきところを経費にしてしまった
というようなケースの場合、
本当はだめだけど、「少額だから」やむを得ないと判断しているだけ
であり、処理としては「間違い」になります。
間違いだけど少額だから仕方ないだけ、ということですね。
結局「OK」なのであれがどっちでも一緒じゃん?
という考え方もありますが、
・本来はダメなもの
は当事者がしっかりと認識しておくべきだと思うのです。
今回は仕方ないけど次回はダメですよ!
としておかないと、いつまでもそれがズルズルと続いてしまいますし。
「金額が小さいから」の判断に慣れてくると、「考えること」「精査すること」を放棄して、「少額(の判断)」に逃げがちになったりもしますので、注意が必要です。
・何が正しいのか?
の判断はしっかりと行い、その上で
・少額の場合にはどう判断するか?を考える
という順序であることは、改めて認識しておいたほうがよいのではないかと思っています。
そこを無視してすぐに「少額・・・」というのはちょっと違うのかなと。。
【編集後記】
高校を卒業してから28年、高校1年のころからは30年経っているのですが、なんだかんだ覚えていることって多いんですよね(一人では絶対に思い出せないことも多いですが)。
自分自身の現在の価値観、考え方に影響を与えているはずの時期について、振り返ってみる機会があってもいいのかなと感じました。
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