オーナー企業にとっての出口戦略とは?相談相手を間違えないことも大切。将来の目標から現在を考える。

オーナー企業の経営者であれば、「会社の出口戦略」について、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
あるいは、常に意識しているという方もいらっしゃるかと思います。

会社の出口戦略とは?

会社の出口戦略とは、「会社を将来どうするのか?」ということです。

オーナー企業であれば、会社=経営者自身と言えますので、
・会社をどうするのか?
・自分をどうするのか?
・自分はどうなりたい、どうしたいのか?
を考えるということになりますね。

一般的に言われている「出口戦略」というのは5つに分けられます。

(1)上場(IPO)
(2)事業承継
(3)M&A
(4)清算(廃業)
(5)倒産(破産)

以前にも同じようなことを書いていました。

企業経営のゴール・出口をどこに設定にするか?それによって「やるべきこと」や「判断」が変わる。
企業を経営していく上では、ゴール・出口をどこに設定するか?を意識しておくことが大切です。 税理士/アドバイザーとして会社をサポートする...

「意図的に倒産する」というのは、別の問題がありますので置いておくとすれば、「自分の意志で」という意味では、(1)〜(4)のどれかということになります。

さらに「(4)清算」についても、あえてそこを目指して前向きに取り組むことがあるのかどうか、という問題がありますね(自然体でそこにいく、という可能性はありますが)。

それぞれの出口戦略について

上場

やるからには上場めざすぞ!と気合いを入れて頑張っている経営者の方もいると思います。

それはそれで素晴らしいことですので、行けるところまで突っ走れば良いでしょう。

ただ現実問題としては、やはり上場というのはそれなりにハードルも高く、そこまで辿り着けないケースもあるでしょう。

日本取引所グループのサイトでは、2018年10月19日現在の上場会社数が次の通りと公表されています。

第一部:2,110社
第二部:504社
マザーズ:269社
JASDAQスタンダード:692社
JASDAQグロース:37社
Tokyo Pro Market:28社
合計:3,640社

一方、総務省の調査によると、2016年6月1日現在の企業等数は385万社とのこと。

単純に計算すると、世の中の会社のなかで上場している会社は0.1%ということになりますので、ハードルの高さがわかりますね。

事業承継

出口戦略として従来からもっともメジャーなものがこの事業承継でしょう。

自分の子供や親戚などを後継者として、株を譲って事業を引き継いでもらいます。

「株を譲る」ことになるので、後継者は株式を取得する資金が必要になります。

ただ最近では、事業承継の場合には税制面での手当が進んできており、後継者による負担感は少なくなってきています。

それでも、優遇が受けられない親戚やかわいがってきた社員に継がせたいと考える場合には、資金の手当についても考慮しなければならないことになります。

M&A

事業承継という選択肢がない場合には、第三者に株式を譲渡することを検討する必要があります。

いわゆるM&Aというやつですね。

以前は悪いイメージが先行していたM&A(敵対的)ですが、友好的なM&Aが浸透することで、会社・事業を継続させるための友好な手段となってきています。

最終的に判断するのはオーナーですから、納得できる方法を模索されることになりますが、
・会社、事業を発展させるためにはプラス
・従業員にとってもプラス
の効果があるのなら、検討してみる価値は大いにあるのではないかと考えています。

なお、清算、倒産は戦略と呼べるのかどうか、積極的に前向きに検討していくことでもありませんので、割愛します。。

出口戦略から現在を考える

このような出口戦略のなかで、どこを目指していくのか?はできる限り早めに決めておいたほうがよいです。

どれを選ぶべきかによって、現在、どのようなことを考え、どのような行動をとるべきか、が変わる可能性があるからです。

例えば、事業承継とM&Aで考えてみます。

事業承継で子供に株式を譲る場合、最近は税制面での手当が進んできていますが、少し前であれば、いかに株式の価値を低く抑えて、税務上の負担を小さくするか、がポイントでした。

株式を譲るタイミングで、いかに会社の純資産を減らして、株式の価値を下げるか?を真剣に考えるということです。

一方、M&Aは第三者に株式を譲渡するわけですから、当然、少しでも高く売りたいところです。

したがって、株式を譲るタイミングで、いかに株式の価値を高めておくか、がポイントになるわけです。

このように、事業承継とM&Aでは、株式の価値の望ましい方向性が正反対ですから、どっちの方向に進むかによっても、考えるべきこと、対処方法がまったく変わってきます。

「何も考えずに節税のことだけ考える」
なんてことをやっていると、トンチンカンなことをやってしまっている可能性もありますので、しっかりと将来像をイメージしておくことが大切になりますね。

誰に相談するか?も大切なポイント

このように「会社をどうしたいか?」を考えるうえでは、「誰に相談するか?」も大切なポイントです。

株式上場に関わったことがない人、上場企業がどんなものかを知らない人に「株式上場」のことを相談しても、有益な情報は得られないでしょう。

M&Aに関わったことがない人にM&Aのことを相談しても、やはり「机上」の話は聞けてもリアルな世界は分からないのではないかと。

オーナー企業の経営者にとっては、出口戦略とは「出口」ですから、基本的に「一度きり」です。

だからこそ後悔しないように、相談相手を間違えず、しっかりと備えておくことが大事になりますね。


【編集後記】

昨日も日帰りで京都へ。
往復の移動中にガッツリ仕事ができるので時間的なロスはありませんが、体力的にはやはり少し疲れますね。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

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