節税と納税はどちらを重視すべきか?すべては目標とタイミング次第。でも無意味な納税は論外です。

節税と納税。
経営者なら誰でも興味があるテーマだと思います。
節税と納税をどう考えるか、簡単に整理してみます。

節税したい心理・納税したくない心理

節税したい、あるいはできれば納税したくないという心理はよく分かります。

経営者なら、程度の差こそあれ、みんな同じような感覚を持っているのではないでしょうか。

節税したい心理・納税したくない心理としては

・せっかくいま手元にあるお金が納税のために減ってしまうのがイヤ。
・周囲でうまく節税している話を聞いて、真面目に納税するのがバカバカしく感じてしまう。
・想定していた以上に利益や納税額が大きくなってしまい、資金繰りが厳しくなるのがイヤ。

など、いろいろな事情が考えられます。

本来なら、会社の利益が出ることは喜ばしいことではあるものの、手元にあるお金が減るのはなんとなく損した気持ちになるという感覚も分かるような気はします。

資金繰りの話は置いておくとして、
・利益が出て
・手元に残ったお金があって
・そこから税金を払う
と考えれば、納税するのは「当然」のことだと頭では分かっていても、簡単には割り切れないといったところかもしれません。

納税したほうが良い理由

節税したいという感覚は理解できますが、しっかりと納税したほうが良い状況もあります。

きちんと納税する大きなメリットは、納税したあとのお金が会社に残るということです。

会社にお金が残ってさえいれば

・多少資金繰りが厳しくなっても耐えることができる。
・回収遅延や取引先の倒産など、不測の事態にも備えることができる。
・必要なときに必要な投資をすることができる(タイミングを逃さない)。

など、いざというときに安心です。

会社の将来的な発展や安定のためには欠かすことができないものだと言えるでしょう。

また、節税のために無理にお金を使う必要がないため、無駄遣いしてしまうリスクを減らすことができるということもメリットです。

強い会社を作る必要がない場合!?

逆に言えば、強い会社を作る必要がない場合にはしっかりと納税して会社に内部留保を増やし、会社を強くしていくということは、そこまで意識しなくてもよいのかもしれません。

会社を大きくするのではなく、会社としてしっかりと必要な蓄えがあれば十分という考え方もありだとは思いますので。

なお、「会社にとって必要な蓄えがどれくらいか?」は業種、規模によっても異なりますし、考え方にもいろいろあって一概には言えません。

今後の方向性などを考えつつ、場合によっては顧問税理士などに確認してみるのが良いのではないでしょうか。

節税と納税のどちらを重視するかはタイミングと目標次第

節税と納税のどちらを重視するか?

結局、どちらも間違いではないと考えています。

「会社として何を最優先に考えるか?」次第だと思うからです。

・会社をいま以上に大きくしていきたいのか/今くらいの規模の維持でいいのか?
・自分の代で会社をたたむのか/後継者がいるのか?
などなど。

このあたりのタイミングや会社としての将来の目標をしっかりと整理することができれば、自然とどちらを重視すべきかが分かってくるはずです。

会社を強く大きくしていくのであれば、しっかりと納税してお金(内部留保)を増やしていくことを考えるべきでしょう。

自分の代で会社を終わらせるつもりであれば、内部留保を厚くすることよりも、節税を最優先するという考え方でも悪くないかもしれません(もちろん脱税はダメですが)。

無意味な納税は避けるべき

前述のように、しっかりとした「納税」には大きなメリットがあります。

ただし単に納税していれば良いわけではなく、無意味な納税は避けるべきです。

無意味な納税の1つの例は、粉飾決算です。

・粉飾決算をして
・その分、利益が多く計上されて
・粉飾後で水増しされた利益に税金がかかる
といったパターンの場合、会社は本来払う必要のなかった税金を支払うことになります。

粉飾決算というのは一度やってしまうと、なかなか抜け出せなくなってしまうおそれもありますので、注意が必要です。

しかもその後、粉飾決算の修正で利益が減ったとしても、その分の税金を減らすことができない(損金に算入することができない)というのもデメリットです。

また、会社組織の中では、税金を意識しない(税金の支払いを軽視した)意思決定が行われるケースというのが少なくありません。

「税金払えばいいんでしょ?」的な発想です。

税金を払うというのは、物を買うためやサービスを受けるためにお金を払うのとは違って、単に社外にお金が出ていくだけですから、本来は簡単に決められることではありません。

その意味では、この発想が許されるのはオーナー(株主)のみなのではないかと常々考えています。

「税金払えばいいんでしょ?」という言葉を使っていいのはオーナーだけ!?
会計と税金計算とのルールの違いは一般の方にはなかなか分かりづらいものです。 税金計算上の経費に認められないものがあったとき、「税金払え...

もしもオーナーではない経営者や従業員が、自分の懐も痛まないし、などという軽い感覚で、このような発想をしているのであれば、ある意味、株主に対する背信行為とも言えますね。

どうしても必要なことならやむを得ませんが、それだけ会社の価値を毀損させていることを理解しているのか、オーナーに説明できるのか、考えてみる必要があります。

「会社は誰のもの?」という話をするまでもなく

・会社で働くものの使命とは何か?
・株主に対する責任は何か?

を真剣に考えるべきではないかと。

「結論ありき」で進めた小さな誤りやズレが、少しずつ常態化して当たり前になり、さらに悪い方向に進んでいってやがて取り返しがつかないことになることもありますので。

「正しい節税」「正しい納税」は会社によって内容が異なります。

ただし「不正」「脱税(行き過ぎた節税)」「無意味な納税」は、すべての会社が避けるべきことですので、慎重に判断したいところです。


【編集後記】

今年も残すところ1週間をきりましたね。
厳密な仕事納めは設定していませんが、周囲のなんとなくそわそわした感じを見ていると、こちらまでなんとなくそわそわしてくるのが不思議です。。。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

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