瀬加地くんの奮闘(後編)!?。とある饅頭屋さんにて。瀬加地くんに足りなかったものは?

前回の記事の続編です。
せっかちな瀬加地くんが社長から「お饅頭大量生産プロジェクト」のリーダーを任されました。

検討もそこそこに自信満々の瀬加地くん、うまくいったのでしょうか?

前回の概要

埼玉県の片田舎にあるお饅頭屋さんは、堅実な経営を続けていましたが、社長さんは「もっと儲けて会社を安定させたい」という思いを持っていました。

社長としては、饅頭の値上げや人件費のカットはしたくないので、まずは売上数量を増やそうと考えました。

ふと考えてみると、よく売れるときなどには品切れ状態で「売りたくても売れない日」というのがあります。

そのことを思い出した社長さんは、品切れがなくなればもっと売れる、売上が増えると考え、そのためのプロジェクトを少しせっかちな瀬加地くんに任せることにしたのでした。

すると、さすが瀬加地くん、細かい分析などはさておき、翌日には

「社長、饅頭を品切れさせない方法、見つかりました。簡単なことです!」

と社長のところに言いに来たのでした。

とある饅頭屋さんにて。瀬加地くんの奮闘!?
問題を解決しようと考えるときには、問題点を絞り過ぎてもダメ、ピントがずれていてもダメ、自分だけがやろうとしてもダメ、などいろいろと考えさせ...

瀬加地くんの結論:「早く」「たくさん」作ればいいんでしょ!

瀬加地くんは、饅頭を作る各工程の人たちに聞いてみました。

もっとたくさん作れないんですか?と。

工程としては次のようなものがあり、
・皮を作る
・餡を作る
・皮に餡をつめる
・饅頭を焼く
・饅頭を冷やす
・包装する
・品質のチェックをする
・箱詰めして店頭に並べる
それぞれの担当に聞いてみると、「作れないことはないけど」という回答が返ってきました。

その回答を聞いて、瀬加地くんは

簡単じゃん。それぞれの担当者ができるだけ「早く」「たくさん」作れば、結果的に饅頭がたくさん作れるはずじゃん。

と思いました。

で、すぐに社長に「簡単です!」と報告に行ったのでした。

みんなが「早く」「たくさん」を目指してみると?

それまでは、それぞれの工程で1日1,000個の饅頭を作って販売していましたが、各工程の人たちは、自分ができる最大限の数をできるだけ早く作ることを目指しました。

皮を作る/餡を作る

・皮を作る工程
・餡を作る工程
は原料を入れて機械を動かすだけなので、1,500個分の材料を準備することができました。

皮に餡をつめる

ところが、です。
皮に餡をつめる工程は、設備の能力に限界があり、いままでと同じ時間であれば1,000個しか作ることができません。

1,500個作ろうとすると、いままでの1.5倍の時間がかかってしまうのでした。

それだけ時間をかけてしまうと、焼いて、冷やして、包装して、開店時間までに饅頭を店頭に並べることができなくなってしまいます。

焼く工程の人から「まだ??」と催促がきてしまい、結局、2割増しの1,200個分だけ皮に餡をつめてを焼く工程に流すことにしました。

「まあそれでも200個多く作れるし!」と瀬加地くんは考えていました。

饅頭を焼く/冷やす

次の饅頭を焼いて、冷やして、という工程は大量にさばけるので、無事に1,200個の饅頭の生産に成功しました。

包装工程

で、次です。

包装工程、ここも数量に応じてかかる時間が変わります。

いままでと同じ時間であれば1,000個の包装はできますが、1,200個の包装となると時間は2割増しです。

とはいえ、包装工程としても最大数量を目指さなければならないため、包装を続けていました。

すると、次工程の品質管理(チェック)の担当者からまだ?と催促が。。。

すでに、皮に餡をつめる工程でいつもよりも2割多く時間がかかっており、包装工程でもいつもより2割多く時間がかかっていては、品質チェックをしてから店頭に並べるまで時間が足りません。

「このままでは結局いつもと作れる数が変わらなくなってしまう。」と思った瀬加地くんは、自分が品質チェックを手伝うことにしました。

足りないところは自分が頑張る!で乗り切れるか?

時間が足りない、足りないところは自分が頑張ってしまおう!で乗り切れるでしょうか。

瀬加地くんが品質チェックを手伝うことにして、なんとか普段より2割多い1,200個のおまんじゅうが作れそうかなと思った矢先、呼び出しがかかりました。

皮に餡をつめる工程の人からでした。

「1,500個分の皮と餡があるけど、実際に餡をつめたのは1,200個分だけ。。残りの300個分はどうするの?捨てるの??」

その日に作ったものをその日に販売することにしているお饅頭です。

さてどうしたものか。。。
もったいないけど、使いみちはありません。

悩みつつ、それでも立ち止まる暇がない瀬加地くん、
とりあえずあとで戻ってきます。
と伝えて品質チェックにもどりました。

するとすぐにまた呼び出しです。
今度は、最初の工程で皮と餡を作る工程の人からです。

「一気に1,500個分の原材料を使ってしまったから、明日の分の材料が足りないんだけど。」
「今から手配して間に合うかどうか・・・」
と言われてしまいました。
それなら早く言ってよ!と心の中で思いつつ、そんなことすら確認していなかった自分に大きな責任があります。

とりあえず、「あとで戻ってきます」と伝えて再び品質チェックに戻りました。

ところが品質チェック工程に戻ったところで時間切れ、結局200個分の品質チェックはできないままとなってしまいました。

そんなこんなで
・品質チェックは手伝わなければならない
にもかかわらず、
・あちこちで問題が勃発している
という状況に陥ってしまい、その整理に時間も取られ、結局品質チェックで役に立つこともできず、普段通りの1,000個しか店頭に並べることができなくなってしまったのでした。

成果・・・結局普段通り、1,000個のお饅頭
ロス・・・300個分の皮と餡、200個分の品質チェック前のお饅頭

結局のところ、「足りないところは自分が頑張る!」という気合いだけでは乗り切ることができなかったということになりました。

結果は?自分自身がボトルネックに・・・

ビジネスの場などでよく使われる「ボトルネック」という言葉あります。

一言で表せば「制約」であり、もともとは「瓶の首(細くなっているところ)」を表す言葉で、処理能力や容量などが一番低いところという意味で使われます。

今回のお饅頭屋さんでは、1,500個作ろう、1,200個作ろうと考えた場合、いろいろなところにボトルネックがありそうです。

さらにいえば、そのボトルネックを考えることなく、分析することなく、「早く」「たくさん」を求めた瀬加地くん、自分が手伝うとしていながら事態の収集に時間を取られてしまった瀬加地くんこそが、大きなボトルネックとなってしまったとも言えるでしょう。

瀬加地くんに足りなかったのは?

今回、瀬加地くんに足りなかったのは、チーム・組織で行う業務の場合には、
・「どこか1つだけが早ければよい」というわけではない
・ボトルネックがあり、それぞれが最大限の数を稼ぐことがベストとは限らない
・思いつきで周囲を巻き込むと、結果的に自分が足を引っ張る可能性がある
という認識でした。

さらにそのような分析もせずに、バタバタと決めて「大きな変更」をしてしまったことも問題でした。

バランスを考えながら俯瞰することと、どこがボトルネックになるかの意識があれば、また違った判断ができたかもしれませんし、小さく始めていればそれほど問題にもならなかったかもしれません。

そのようなことを考えなかったばっかりに、周囲をバタバタと巻き込みながらも、結局目標を達成することができませんでした。

自分ひとりだけなら、笑えない笑い話として済ませることができるかもしれませんが、組織など周囲を巻き込んでしまう場合には、特に注意が必要です。
このようなことを繰り返してしまうと、周囲から信頼されなくなってしまうので。

ちなみに、早く動くことがダメだと言っているわけではありませんし、むしろ素早い行動そのものはすばらしいと思います。

ただし、必要な検討もせずにせっかちに動きすぎることはNGでしょう。

だらだらとムダに悩むのがダメなのであり、しっかりと分析して結論が出たなら「とっとと取り掛かる」「すぐ動く」というのが基本になると思います。

今回の瀬加地くん、いろいろなモデルを混ぜて作った架空の人物ですが、結構いろいろなところで目にしたり、耳にするキャラではないでしょうか。

すべてはバランス次第。
書くと簡単で当たり前のようですが、この基本がなかなか難しいんですよね。


【編集後記】

引越し後に所属することになる東京税理士会の豊島支部から手紙が届き、メールアドレスを連絡するように、とのこと。
支部からの連絡は「原則としてメール」のようで、やっぱりそうだよね・・・と思いました(某浦和支部はfax+メールでしたので)。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

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