商品の輸出費用に関する経理処理の取り扱い。在庫金額に含める必要があるのかどうか?

商品を売買するときにかかる輸送費については、輸送の内容によって処理方法が異なります。

特に、輸出に関しては紛らわしい論点もありますので、簡単に確認してみます。

商品の輸送費に関する経理処理の取り扱い。商品の取得価額に含めるかどうか。

商品の仕入れに関する費用

商品を仕入れる場合には、商品の本体金額以外に、商品を仕入れるための付随費用がかかることがあります。

引取費用、輸送費、関税などなど。

で、会計上も税務上も原則としてこれらの付随費用を商品の取得価額に含めることになっています。

・商品本体:100
・付随費用もろもろ:20
であれば、この商品の取得価額(=在庫金額)は120になるということです。

法人税法では、購入した商品の取得価額を次のように定めています。

*当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)

*当該資産を消費し又は販売の用に供するために直接要した費用の額

ただし、例外として、買入事務や検収、選別等に要した費用など一定のものの費用が、少額(おおむね購入代価の3%以内)の場合には取得価額に含めなくて良いこととされています。

つまり、内容も金額もそれほど重要性がないものであれば、在庫金額に含めずに、発生した期に費用処理してOKということです。

ちなみに会計上も、重要性が乏しい付随費用は取得価額に算入しないことができるとされています。

商品の保管や販売に関する費用

在庫に関連する費用として、倉庫等における商品の保管料があります。

この保管料については、基本的に販売費・一般管理費として処理することになります。
(特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するような場合を除き)

また、商品を客先に販売するための輸送費、運賃についても販売費として処理することになります。

簡単に整理するなら
・自社の倉庫など自社の管理範囲内に入ってくるまでの費用は取得価額に含め、
・自社の管理範囲内から出ていく(販売するために出荷される)場合の費用は、販売費とする
と考えるのが分かりやすいかと思います。

海外への輸出費用。それだけでは判断できない!?

では、海外に商品を輸出した場合の輸出費用はどうなるでしょうか?

結論としては、その情報だけでは分からないということになります。

その海外の輸出先がどこか?で変わってくることになるからです。

1.海外の客先に販売する場合

商品を海外の客先に販売するために輸出する場合、その輸出費用は販売費として費用処理することになります。

前述のケースでいう「自社の管理範囲内から外に出ていく」ことになるからです。

日本国内の客先に商品を販売する場合と同じです。

2.海外の自社倉庫に輸出する場合

では海外にある自社倉庫に輸出する場合はどうでしょうか。

海外で自社が借りている倉庫に在庫を保管しておいて、現地の客先から注文がきたら出荷する、というようなケースです。

この場合、海外で保管している在庫はあくまでも当社の在庫であり、単に保管場所が国内か海外かというだけの違いです。

つまり、海外の倉庫でもまだ自社の管理範囲内であることから、この場合の輸出にかかる費用はその商品の取得価額(=在庫金額)に含めないといけないということになるわけです。

もしも現地に商品が到着して全量をすぐに販売してしまう場合は、売上原価か販売費かの違いだけですので、それほど大きな影響はないかもしれません。

ただし、在庫が一部でも残る場合には、しっかりと在庫金額に含めておく必要があるということです。

「販売の用に供するために直接要した費用」と「販売のために要した費用」

このように、商品を輸出するとしても、海外の客先に向けて出荷する場合と海外の自社倉庫に向けて出荷する場合とでは、処理が異なることになるわけです。

冗談のようですが、こんな微妙な日本語の違いで表すようです。

・販売の用に供するために直接要した費用
・販売のために要した費用

どちらがどちらのことを指しているか、お分かりになるでしょうか。

「販売の用に供するために直接要した費用」は、販売する前段階・販売の準備をしている段階での費用ということになります。

上のケースでいう、海外の自社倉庫に輸出して海外での販売の準備をしておくための費用であり、取得価額に含めるものになります。

「販売のために要した費用」とは、お客さんからの注文を受けて出荷するための費用ということになります。

上のケースでいう、海外の客先に販売(輸出)するための費用であり、販売費として処理するものになります。

もちろん「重要性」の観点からケアする必要がないケースもありますが、海外への輸送となるとコストもそれなりにかかりますので、重要性の基準内で収まらないケースもあるでしょう。

海外への展開、海外での商品販売などを新たに始めようとする場合、このあたりの処理にも注意しておく必要があります。


【編集後記】

昨日、時間調整のため入った喫茶店では、5mくらい離れた席で、求職中の大学生と人材紹介会社の社員らしき人が打ち合わせをしていました。
それなりに距離は離れているのに、店内が空いていることもあって内容が丸聞こえでした(もちろん聞きたくもないのに聞こえてきてしまう。。。)。
学歴も、いま紹介しようとしている仕事がどんなものかも。

私自身、カフェで打ち合わせをすることはたまにありますが、内容、声の大きさには気をつけなければと改めて感じました。

【昨日の1日1新】

*「1日1新」とは→詳細はこちら

とんかつ 勝漫
ルノアール秋葉原店
ベルサール秋葉原


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