使わなくなった固定資産は「即捨て」で税金の負担を減らす

使わなくなった固定資産があれば「即捨て」することで、余計な税金の負担を減らすことができるかもしれません。

使わなくなった固定資産を持ち続けていませんか?

使わなくなった固定資産。

「もったいなくてなかなか捨てられない」などと思って、いつまでも持ち続けているなんてことはないでしょうか?

業種にもよりますが、製造業などの固定資産を多く持っている会社であれば、結構多いのではないかと。

なかには、
・この固定資産は何なのか?
・固定資産台帳のどれなのか?
・誰が管理しているのか?
が分からなくなってしまっている資産がある、なんてこともあるかもしれません。

使わなくなった時に捨てておけば良かったものの、タイミングを逃したことで、結果としていつ捨てたらいいのかが分からなくなってしまった、というパターンもありそうです。

使わない固定資産があった場合、場所は取られるし、固定資産の実地棚卸の対象は増えるし、良いことはありません。

また、さらには、「即捨て」すれば、税金の負担を減らすことができるかもしれません。

「即捨て」することで減らすことができる税金

使わなくなった固定資産を「即捨て」すれば、次のように税金の負担を減らすことができる可能性があります。

経費を増やして税金を減らす

帳簿価額を落とす

使わなくなった固定資産を捨てる(除却といいます)ことで、その固定資産の帳簿価額を税金計算上の経費にすることができます。

実際に、帳簿価額がまだ残っている資産であれば、

・何もせずに保管し続けたら、その年に経費にできる金額は減価償却費だけ

ですが、

・固定資産を除却すれば、帳簿価額全額を経費にできる

ためその年の経費が増えて、結果として税金の負担を減らすことができます。

廃棄費用を計上する

また、使わなくなった固定資産を廃棄する場合、廃棄費用がかかるケースが多いと思います。

実際に廃棄が行われていればその廃棄費用は経費になりますので、やはり税金の負担を減らす効果があります(ならしてみれば、いつ計上しても同じではあります)。

もちろん廃棄費用については現金が出て行くことにはなりますが。。

固定資産を手放して税金を減らす

固定資産を持っていると、固定資産税という税金が課されることになります。

詳細はこの記事をご覧いただくとして。

固定資産税(償却資産)の申告期限は1月末まで〜30万円未満の少額資産も申告対象になることがあります〜
固定資産のうち、土地や家屋以外の償却資産(事業用資産)についても、固定資産税(償却資産)の申告が必要になります。 固定資産税(償却資産)の...
固定資産税(償却資産税)の申告では固定資産台帳と照合することを忘れずに。
会社や事業を行っている個人は、1月末までに償却資産申告書を提出する必要があります。 このタイミングで、しっかりと固定資産台帳との照合を...

1月1日に持っている固定資産には固定資産税という税金が課されるため、あまり使っていない資産でも関係なく課されることになります。

金額は大きくはありませんが、負担しないで済むならその方が良いですし、使っていない固定資産のために余計な支出をするのはバカバカしいので。

チリも積もれば、とも考えられますし、「使う可能性がある」場合を除けば、もったいないからといつまでも持ち続けていることの方がもったいないかもしれません。

現物を捨てなくても帳簿から落とす方法「有姿除却」

それでもどうしても廃棄ができないということがあるかもしれません。

・期末ギリギリに使わなくなったので決算までに廃棄が間に合わない。
・廃棄費用が結構かかるので、資金繰りが厳しい。
など、いろいろな事情が考えられます。

その場合には、現物を廃棄しないまま帳簿から落とす「有姿除却(ゆうしじょきゃく)」という方法もあります。

「もう使わない」、「使えない」ことが大前提であり、現物を捨てていないのに経費にできるという特別な方法ですから、  いろいろな縛りが出てきます。

なお、法人税の基本通達では次のような書かれ方をしています。

法人税法基本通達 7-7-2 (有姿除却)

次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産につき解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるものとする。(昭55年直法2-8「二十五」により追加)

(1) その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産

(2) 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの

結構厳しいですよね。

いくら「もう使いません」と自分で宣言しても、客観的に見て「使える状態」「使えるもの」であれば認められないと考えておいた方が良いかと。

もちろん、やるかどうかは別として、ハンマーで叩き壊してしまうなど、物理的に使えないようにしてしまうといのが手っ取り早い方法ではあります。

ここまで縛らないと、まだ使える資産を「有姿除却」といって経費にするなどして、利益調整に利用されてしまう可能性があるということなのでしょう。

そのあたりの管理、運用が面倒なら、「即捨て」してしまった方がスッキリするのは間違いありませんね。

もう使わない固定資産持ち続けているようであれば、廃棄を検討してみてはいかがでしょうか。


【編集後記】

ふるさと納税制度の見直しが話題にあがっていますね。
国の意向に従わない地方自治体に寄付した場合には、寄付としての税の優遇が受けられなくなるとか。
高額返礼品を制限するのはやむを得ないとして、地場産限定とまで縛る必要があるんでしょうかね。魅力的な返礼品が用意できない地方自治体はどうすれば良いのか、理想論・あるべき論は分かるのですが、なかなか難しいところですね。
税金がどのような使われ方をしているのかを意識するのには良い制度だと思うだけに、縮小方向に進まなければいいのですが。

【昨日の1日1新】
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