部門別・事業別の損益管理をするときにまず最初に認識しておくべきこと

部門別・事業別の損益管理をしている会社が、まず最初に認識しておくべきことについて考えてみます。

部門別・事業別の損益管理

複数の部門がある会社、複数の事業を行っている会社では、部門別の損益管理、事業別の損益管理を行っているケースが多いと思います。

たとえば
・営業第1部/営業第2部/管理部
とか
・〇〇製品事業部/△△製品事業部/管理部
ように、複数の営業部門や事業部がある会社の場合には、部門別の損益情報が必要になるでしょう。

一方、社内が営業部門と管理部門のみというシンプルな組織の場合、部門別損益管理はあまり意味がありません。

ただその場合でも、複数の事業(製品)があってそれぞれの事業(製品)ごとの損益情報が知りたいのであれば、事業別の損益管理は有益です。

このように部門別・事業別に損益管理をする目的は、言うまでもなく、
・それぞれの部門(事業)がどれだけ儲かっているか?
を把握することであり、さらにそこから
・社内での人員配置が適切か?
・どの部門にどれだけ投資をしていく必要があるか?
なども把握することができます。

ただし、「正しい損益管理」をしていることが大前提であり、適当な管理をしていると「あまり使えない情報」になってしまっている可能性がありますので、注意が必要です。

部門別・事業別損益管理の難しさ

部門別管理の難しい問題として、「共通経費を各部門にどれだけ負担させるか?」というものがあります。

たとえば
・営業第1部/営業第2部/管理部(総務、人事、経理など)
がある会社の場合、管理部で発生した費用や各部門に紐付けできない費用(家賃など)を営業第1部・営業第2部でそれぞれ負担して、各営業部門の損益情報を把握することが一般的です(間接費とか共通経費の配賦なんて表現が使われたりします。)。

で、このときに管理部で発生した費用や紐付けできない費用を、営業第1部と第2部にどのように負担させるか?が悩ましいところだったりします。

営業第1部と第2部の所属員が全く同じ人数、管理部門の関与度合いも似たようなものであれば、すべての費用を50%ずつ負担してしまえばよいでしょう。
ただ、実際にはこんな単純なケースはあまりないかと思います。

では
所属員の人数は、営業第1部:営業第2部=7:3
だけど、
管理部門の関与度合い(負荷)が、営業第1部:営業第2部=2:8
だったとしたら、どのように負担させればよいか。

少なくとも即答はできませんし、内容を確認しながらより実態に近づける工夫が必要になります。

まず最初に認識しておくべきこと

このように難しい(面倒な?)問題をはらんでいる部門別・事業別の損益管理を有効活用するため、あるいは、せめて「使えない情報にしてしまわないため」に、最初に認識しておくべきことがあります。

それは

結果を見てから、むやみに前提条件・ルールを変えることは避けるべき

ということです。

たとえば、管理部門の費用を50%ずつの負担とした場合に、結果として
営業第1部が赤字、営業第2部が黒字(ともに自部門だけの損益では黒字)
になったとします。

自部門の損益自体はプラスなのに、管理部の費用を負担したらマイナスになってしまう営業第1部の部長さんは
「もっと管理部門の費用負担を減らしてほしい」
と思うのが本音でしょう。

このようなときに
第1部の部長や部員がかわいそうだから、負担割合を40%に減らしてあげる!
なんてことをやってしまったらダメ、ということです。

最初にそれなりの根拠をもって決めた50%という負担割合を、赤字という結果を見てから変更するのでは、部門別管理の意味がありませんね。

そんなことをしたら、本来の実力値、あるべき部門損益・事業損益からズレてしまうということは理解しておく必要があります。

社長直轄ではない場合は特に注意!?

そんなことしないでしょ!?
なんて思う人が多いかもしれませんが、結構、これに近いことが行われていることもあるのではないかと感じています。

経営者が自社の業績を把握しようとするときには、そのような恣意的な調整をすることはないでしょう。
自分で評価するのに、わざわざ使えないデータにする必要はありませんので。

むしろ、社長と営業部門の間にいる人、たとえば「取締役営業本部長」なんていう人がいて、営業第1部と第2部を統括しているような場合が危険です。

・評価は各部門の利益(共通経費負担後)がベース
・このままだと第1部は赤字
・第1部長も第2部長も頑張っているから同じように評価してあげたい
と営業本部長が考えて、負担割合を変えてしまうとします。

結果として、第1部も第2部も同じような利益となり、それを社長に報告することで第1部長も第2部長も同じように評価されることになるわけです。

第1部長としてはラッキーですが、はたしてこれでよいのか?やはり疑問ですね。

評価云々の問題だけでなく、会社として「事業への見方、判断を誤ってしまう」ことになりかねないからです。

儲かっていると思っていたある事業が、実は恣意的に調整されていただけで、裸にしてみたら赤字だったなんて、シャレになりません。

社長直轄でしっかりと直接管理・把握できている組織であれば大丈夫かもしれません。

そうではなく、組織として社長と現場との間にワンクッション、ツークッション入っているような場合には、念のため「恣意的な調整」には注意しておいたほうがよいかもしれません。


【編集後記】

自分自身の月次決算(法人、税理士事務所)に時間がかかりすぎていると感じています(テストの意味合いもあって、弥生会計とfreeeで)。
excelを使ってみるなど、少しやり方を見直してみようかと考え始めています。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

鳥焼 格之進
西友 巣鴨店
ハロースミス


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