いつかはバレる脱税の「そこまでやるのか!?という手口」と信頼できる税理士について

少し前に国税庁から「平成28年度 査察の概要」が公表されました。

査察調査を行った件数や脱税額などと一緒に、脱税により手元に残したお金の隠し場所にも触れられていますが、そこまでやるのか!?と驚くような手口のものもありました。

査察制度や驚きの手口をさらりと紹介しつつ、信頼できる税理士について考えてみました。

そもそも「査察」とは?

税務署や国税局による調査といえば、「税務調査」を思い浮かべる方が多いかと思います。

この「税務調査」と「査察調査」の違いは何かというと、一言で書けば

・税務調査:任意の調査

・査察調査:強制的な調査

ということになります(その基となる法律など、違いはいろいろとあるのですが)。

税理士会のサイトでは、一般納税者向けのQ&Aに次のようなコメントを載せています。


*関東信越税理士会サイトのスクリーンショット

国税庁のレポートなどで使用されている表現を使えば、

税務調査とは
「適正申告の実現を図るため、納税者に対して、的確な調査・指導を実施するもの」

であり

査察制度とは
「悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的とするもの」

ということになります。

つまり「この査察の概要」で公表されているのは、うっかりミスによる間違いではなく、悪いと認識しながら行っている「悪質な脱税」に関する事案であるということになります。

「査察の概要」の概要

国税庁のサイトで公表されている「平成28年度 査察の概要」について、一応リンクを貼っておきます。
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/sasatsu_h28/01.pdf

平成28年度は社会的波及効果の高いものとして、次の事案に取り組んだとのことで、それぞれについて()内の告発事例が紹介されています。

  • 消費税事案(輸出免税制度を利用した不正還付)
  • 国際事案(国外との架空取引による不正)
  • 近年の経済情勢に即した事案(太陽光発電関連の事業者による架空経費計上、震災復興関連事業者による不正)

また、平成28年度に査察調査に着手した件数が178件、過去分を含めて平成28年度中に処理した件数が193件でそのうちの132件(68.4%)について検察庁に告発をしています。

併せて「一審判決の状況」にも触れられていて、平成28年度中に一審判決が言い渡された件数が100件ですべてが有罪そのうち実刑判決が14人(もっとも重いものが査察事件単独で懲役5年、他の犯罪と併合されたものが懲役14年)だったようです。

最後に告発の多かった業種についてだけ触れておきます。

1位:建設業
2位:不動産業
3位:金属製品製造業
4位:商品、株式取引業
5位:運送業

お金を隠しておく手口

脱税事件の調査をする場合、不正で得たお金(当然帳簿にも載っていない現金など)を見つけることが1つのポイントであると言われています(不正を示す証拠になるのでしょう)。

今回の「査察の概要」の資料の中では、不正資金の隠し場所が次のように紹介されています。

○ 居宅押入れの可動式床の床下に存在した金庫の中
○ 居宅敷地内の蔵の段ボール箱の中
○ 居宅のタンスの中及びタンスの前に存在したボストンバッグの中
○ 事務所の商品搬入用エレベータと壁の隙間の段ボール箱の中

1つめの「居宅押入れの可動式床の床下に存在した金庫の中」ですが、文字で見るとあまりイメージが湧きませんが、

「押入れの床が、リモコン操作することにより電動で上に上がってきて、その床下に金庫が隠されていた」

というものです(金庫には1億円以上入っていたとか)。

今なら「床下から隠し金庫…マルサが脱税手口公開」でググれば日テレニュースのサイトなどで動画を見ることができます。

そこまでやるか!?と驚くとともに、よく見つけることができたなとも感じますね。

本当の味方といえる税理士とは

これらのような査察を受けるような事案で税理士がどのように関わっていたのかは分かりませんが、次のようなパターンに分かれるでしょう。

  • 税理士が全く気づかなかった(本気で経営者に隠されたら表面的なチェックだけで不正を見つけるのは難しいかもしれませんね)
  • 税理士はうすうす違和感を覚えていたが、見て見ぬフリをしていた
  • 税理士も内容を聞かされていたうえで何らかの助言を行っていた

実際のところは当事者しか分からないので推測でしかありませんが、しっかりと歯止めをかけることができる税理士が関わっていたならば査察事件にならずに踏みとどまることができたかもしれません。

「こんなことをする人はそもそも税理士の言うことなんか聞かない」という可能性もありますが、実刑判決を受けるリスクがあるということまで覚悟していたのかどうか

せめてそれを伝える人が近くにいれば、この中の何人かは違った道に進めていたような気がします。

ここで紹介されているような査察を受ける脱税は論外としても、節税を意識するあまり、脱税に近いことを行ってしまっているケースも少なからずあるのではないでしょうか。

税務上の見解がグレーな場合、実際には「白」であるならば「黒」として余計な税金を払う必要はありません(「本当は白」と正しく判断できるのが税理士の腕の見せどころ!?)。

ただし、明らかな「黒」を「白」と偽っている場合、それが事実として積み上がると「白」として認められているような錯覚に陥りますが、あくまでもまだ見つかっていないだけです。

「黒」はいつかはバレますし、そのときのペナルティが予想以上に大きいことも覚悟しなければいけません。

そこまで含めてしっかりと考えてアドバイスしてくれる税理士が、会社や経営者にとって本当の味方といえる税理士、お金をしっかりと払う価値がある税理士なのではないかと考えています。


【編集後記】

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