自動車のリサイクル預託金の取り扱い〜消費税の基本を確認14〜

自動車を購入するときには、廃車する際に必要となる費用をリサイクル預託金としてあらかじめ支払わなければなりません。

このリサイクル預託金に関する経理処理、消費税の取り扱いを簡単に確認します。

リサイクル預託金とは

リサイクル預託金とは、自動車を廃棄する際に必要となる、エアバッグやフロン等のリサイクル・廃棄にかかる費用を、あらかじめ支払っておくものです。

新車、中古を問わず、自動車を購入するときには、必ず支払わなければなりません。

預託金という響きからすると、「預けていていつか戻ってくるもの」という印象もありますが、あくまでも「廃車時の費用の前払い」です。

廃車前に売却する場合には売買代金に含めて戻ってくることになりますが、廃車する場合には戻ってくることはありません(当然ですね)。

リサイクル預託金の経理処理

自動車を取得したとき

会計上、支払ったときに「預託金」「リサイクル預託金」「長期前払費用」などの科目で処理されているケースが多いかと思います。

「保証金」のなかに含めているケースを目にしたことがありますが、紛らわしいので避けたほうが良いかもしれません。

また、自動車の取得に関連する費用とも考えられますが、あくまでも費用の前払いとして預託しているだけですので、自動車の取得価額に含めることもありません(減価償却もできません)。

自動車を売却したとき

自動車を売却するときには、この「預託金」も一緒に売却すると考えます。

売買価格のなかに預託金の分を含めて計算することが多いと思われます。
そうすると、この「預託金」は固定資産売却損益に加減算することになります。
(固定資産売却損の増加、あるいは固定資産売却益の減少)

もしも、車両を売却するときに「帳簿価額で売却してプラマイ0ならいいだろう」と考えて金額を決める場合には、帳簿価額にこの預託金を合わせた金額をベースに考えておく必要があります。

自動車を廃車したとき

廃車時には、前払いしていた「預託金」を費用の科目に振り替えることになります。

自動車関係の費用を計上する科目(車両費など)や支払手数料などで処理するケースが一般的なようです。

消費税の取り扱い

自動車を売却したとき

自動車を売却したときは、前述のとおり、「預託金」を売却したと考えます。

そして、この「預託金」は金銭債権という扱いのため、消費税は非課税とされていますので、預託金部分について消費税が発生することはありません。
(「金銭債権の譲渡=非課税」と消費税法で定められています。)

なお詳細は割愛しますが、「課税売上割合」というものを算定する場合には、他の金銭債権と同じように扱う必要がありますので念のため。

自動車を廃車したとき

自動車を廃車したときには、「リサイクル」や「廃棄」という行為を受けたことになるため、消費税が発生します。

具体的には、預託金や長期前払費用から「車両費」や「支払手数料」に振り替える際に、その「車両費」や「支払手数料」を消費税の課税対象とする(課税仕入れとする)という処理になります。

最後に

この自動車リサイクル法が施行された頃には、会計処理の方法などがいろいろと話題になりましたが、最近ではあまり目にすることもなくなってきた気がします。

それぞれの場面での経理処理、消費税の取り扱いも注意が必要ですが、そもそも、自動車は売却したのに「預託金」だけが未処理だった、なんてことがないように注意が必要です。

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【編集後記】

以前紹介したマンガワンで「マネーの拳」が期間限定で用意されていたので、読んでみました。
作者は「ドラゴン桜」の三田紀房さんで、7年以上前に描かれたものですが、マンガとはいえいろいろと感じるところもあって面白い作品でした

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

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