「役員や従業員が退職するときには退職金を支払うことにしている」という会社の場合、退職金の支払いに備えて、引当金として毎期費用計上することを検討してみる価値があります。
引当金とは
引当金とは、将来発生すると見込まれる費用などの支出に備えて、あらかじめ費用計上しておく(繰り入れておく)というものです。
よく聞くところでは
・貸倒引当金
・賞与引当金
・退職給付引当金
・役員退職慰労引当金
といったものがあります。
たとえば賞与引当金で考えてみます、
半年に1度、60万円を賞与として支給する見込みの場合、
・支給する月に60万円を賞与として費用計上する方法
・毎月10万円ずつ賞与(引当金への繰入)として費用計上していく方法(支給は半年に1度)
の2通りの方法が考えられますが、このうち後者が引当金方式というものです。
上場会社などは、会計上、引当金を計上しなければなりません。
一方、税務申告ベースで決算書を作成している会社では、引当金を計上しているケースはそれほど多くないのが現状ではないかと思います。
退職金を引当金として費用計上しておくメリット
引当金を計上していない会社でも、役員や従業員が退職した場合に退職金を支給しているのであれば、「役員退職慰労引当金」「退職給付引当金」を計上することを検討してみる価値があると考えています。
退職金に関する引当金を計上していない場合、
・退職金の支払い時に、全額を費用計上することになる(金額次第で、損益が大幅に悪化)。
・貸借対照表の「純資産」が一気に減少する(見かけほど財務体質は強くなかった?)。
ということが起こり得ます。
そして、引当金を計上するメリットはこの逆になりますので
・社員の勤務期間中に少しずつ費用化していくため、損益への影響をならすことができる。
・財務諸表を眺めたときに、判断を誤る可能性を減らすことができる。
ということになります。
業績が好調で、利益が出て純資産もしっかり厚くなってきた、という会社であれば、より正しく会社の財務状況を把握するためにも、引当金の計上を検討してみてはいかがでしょうか。
なんとなく頭で分かっていることと、実際の数値を見ることとでは、やはりインパクトが違うと思いますので。
引当金を繰り入れても税金への影響はない
ちなみにこの引当金というのは、費用処理したとしても税金計算上の費用(損金)としては認められません(厳密には、実際に退職金を支払うときに、税務上の費用になります)。
つまり、引当金を計上してもしなくても法人税の金額には影響がないということになります。
利益が出たから、少し利益を減らす(節税する)ために引当金を計上しようとしても、税金は一切減らないということには注意が必要です。
くどいですが、税金が減るのは実際に支給するとき、です。
このように、引当金の目的は利益を減らして節税するということではなく、
将来の費用発生見込みを織り込んだ財務諸表を作成して、会社の実態を把握しやすくする。
ということです。
まずは自分の会社であれば、どのような運用ができるのか、考えてみることがオススメです。(顧問税理士などに相談してみると良いと思います。)
【編集後記】
週末は3週間ぶりにゴルフに行きましたが、なんともパッとしないスコアに終わりました。
家族からは「やめたほうがいいんじゃない?」という激励の言葉が。。。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
ゴルフ場のランチで新メニュー
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