保険金や損害賠償金を受け取ったときの消費税の取り扱い。

処理方法に悩むことがなにかと多い消費税。
保険金や損害賠償金を受け取ったときの取り扱いを確認してみます。

消費税の対象取引と対象外取引

保険金、損害賠償金の取り扱いを確認する前に、簡単に原則的な考え方に触れておきます。

経理業務、仕訳入力をする人にとって、消費税は結構やっかいだなと感じることが多いのではないかと思います。

消費税が課されるのかどうか?、取り扱いをどうしたら良いか?、が分かりにくいケースも多いからです。

分かりにくくなっている原因の1つは、消費税の区分や用語が分かりにくいことだと思います。

消費税の区分として、4つに分かれます。

課税、非課税、免税、課税対象外(不課税)。

そのほかにも、課税売上、課税仕入なんて表現もあったりします。

そんな消費税ですが、まず最初に考えるべきことは

消費税の課税対象となる取引なのかどうか?

です。

消費税の観点から取引を分けると
・課税の対象
・課税の対象外
の2つに分けることができます。

分かりにくいですが、ざっくり書くと
・国内において事業者が事業として対価を得て行った資産の譲渡、役務提供など
・輸入取引(保税地域から引き取られる外国貨物)
が課税の対象であり、それ以外は課税の対象外と言うことになります。

ということは、国外で行われた取引は対象外ですし、資産の譲渡に該当しなければそれも対象外ということになるわけです。

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保険金や損害賠償金を受け取った場合は?

では保険金を受け取ったり、損害賠償金を受け取ったりした場合の取り扱いはどうなるでしょうか。

保険金

保険金というのは、何らかの保険事故が発生した場合に、保険契約に従って保険会社から受け取るものです。

保険会社からお金(保険金)を受け取るものの、保険会社に対して資産の譲渡等(販売など)を行った結果として受け取るわけではありません。

というわけで、そもそも「課税の対象」となる対価を得て行った資産の譲渡には該当しないため、課税対象外(不課税)として取り扱うことになります。

損害賠償金

損害賠償金というのは、文字通り、損害・損失が発生した場合に、その原因を作った相手から代償として受け取るものです。

たとえば、自社の製品が輸送中に破損したり、劣化して販売できなくなった場合などに、輸送業者に損害賠償を請求するようなケースがあります。

これも損害賠償金を支払う相手に対して、資産の譲渡等を行った結果として受け取るわけではありません。

つまりこの損害賠償金というのも保険金と同様、課税対象外(不課税)として取り扱うということになるわけです。

損害賠償金でも消費税の対象となる場合?

なお、「損害賠償金」であればすべて課税対象外となるわけではありません。

損害賠償金については

その実質が資産の譲渡等の対価に該当すると認められるものは資産の譲渡等の対価に該当する

とされていて、次のようなものが例示されています。

(1) 損害を受けた棚卸資産等が加害者に引き渡される場合で、当該棚卸資産等がそのまま又は軽微な修理を加えることにより使用できるときに当該加害者から当該棚卸資産等を所有する者が収受する損害賠償金

(2) 無体財産権の侵害を受けた場合に加害者から当該無体財産権の権利者が収受する損害賠償金

(3) 不動産等の明渡しの遅滞により加害者から賃貸人が収受する損害賠償金

何のことやらよく分からない箇所もありますが、損害賠償金であっても、実質的に資産の譲渡や役務提供の対価であれば、課税対象になるということです。

(3)が分かりやすいですが、賃貸不動産で退去予定日を過ぎても退去しなかった場合に賃料相当額の損害賠償金を請求するようなケースが該当するとされています。

字面だけではなく、実態で判断しなければならないというのが分かりにくい部分ですね。


【編集後記】

ここ最近、改めて弥生会計の効率化を研究し始めました。
試していない機能がまだまだいろいろあることが分かってきて、ある意味、楽しみではありますね。

【昨日の1日1新】

*「1日1新」とは→詳細はこちら

夜に自宅近所でウォーキング(新しいルートで)

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