中小事業者に認められている消費税の特例計算~消費税の基本を確認4~

以前の記事で、消費税の納税額は受け取った消費税から支払った消費税を差し引いた差額」と書きました。

これが原則的な計算方法になりますが、中小事業者については簡便的な計算方法も認められています。

原則的な計算方法

消費税の納税額の原則的な方法は、受け取った消費税から支払った消費税を差し引きますので、次のような計算になります。

例えば、税抜100円の物を税抜200円で販売する場合。
・受け取った消費税  200円×8%=16円
・支払った消費税  100円×8%=8円

納付税額=受け取った消費税(16円)-支払った消費税(8円)=8円
差額の8円が手元に残るため、それを納税することになります。

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特例として認められている簡便的計算方法

中小事業者に認められている簡便計算は「簡易課税制度」と呼ばれるものです。

支払った消費税(上の例でいう8円)を実際に支払った消費税額ではなく、簡便的に支払ったみなした金額で計算することができるという制度です。

(計算式)
支払ったとみなす消費税額=受け取った消費税額×一定の割合(みなし仕入れ率)

一定割合(みなし仕入れ率)は次のように事業の種類ごとに決められています。
第1種事業(卸売業)   90%
第2種事業(小売業)   80%
第3種事業(製造業等)  70%
第4種事業(その他の事業)60%
第5種事業(サービス業等)50%
第6種事業(不動産業)  40%
例えば「小売業」で上の事例の場合、支払ったとみなす消費税は次のように計算します。

支払ったとみなす消費税額=16円(受け取った消費税)×80%(みなし仕入れ率)=12円

そして納付すべき消費税額は、
納付税額=受け取った消費税(16円)-支払った(とみなす)消費税(12円)=4円
となります。

この4円を消費税として納税すればよいことになります(原則と比べて4円納税額が少なくなります)。

ちなみにこのケースでは得をしたことになりますが、当然逆になるケースもあります。

現状をしっかり確認したうえで、原則か簡易課税かを決めなければなりません。

特例を受けるための条件

この特例を受けるためには、次の2つの要件を満たすことが必要になります。

適用を受ける課税期間の前々年または前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下
・適用を受ける課税期間開始日の前日までに税務署への届出

この要件を満たせば、「支払った消費税」について、みなし計算ができるということになります。

その他の注意点

上に書いた事例では、簡易課税を採用したほうがメリットがあります。

しかし実際には、どちらがメリットがあるか、ある程度計算してみないと分からないというケースも想定されます

この際に注意が必要なのは、一度この簡易課税を選択した場合、2年間は原則計算に戻すことができないということです。

今年は簡易課税のほうが得だから簡易課税を選び、来年は原則計算に戻すということは認められていないということになります。

原則と簡易課税の選択については、税理士とクライアントの間でもトラブルになることが多い項目の1つであるようです。

もしも「課税売上高が5,000万円以下」という条件を満たしそうな場合、どちらがメリットがあるかを試算してみる(試算してもらう)価値はあるのではないでしょうか。

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【編集後記】

関東地方は梅雨明けせずはっきりしない天気が続いていますが、水不足は解消されていないようです。
プール中止などの影響が出る前に解消されるといいのですが。

【昨日の1日1新】
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