「この業務はマニュアル化できない!」と言われたら。。。

「この業務はマニュアル化できない」という言葉を聞くことがありますが、
「それ、本当?」と疑ってみることが必要かもしれません。

この業務はマニュアル化できない!?

「この業務はマニュアル化できない。」
こんな言葉を聞く機会があるかと思います。

・特定の社員しか知らない業務を誰にでもできるようにしたい。
・複雑な業務で試行錯誤しながら苦労したので記録を残したい。
・業務の標準化をすすめるためにもマニュアル作成を進めたい。

など、経営者がいろいろと考えて、社員に対して指示することもあるでしょう。

で、そんなときに

「私のこの業務はマニュアル化することはできません!」
なんて言われてしまうと、

「あら、そうなの?そんなに大変なの?」
という感じで、ちょっとひるんでしまったり、納得してしまったり、
なんてこともあるかもしれません。

私も過去、いろいろな組織のなかでそのような発言を聞いては

「え〜、そんな業務もあるの?いったいどれだけ大変な業務なの??」

なんて思ったことがありました。

ただ、今から振り返ってみると、そのほとんどが

「マニュアル化できない」
のではなく

「マニュアル化するつもりがない/マニュアル化するスキルがない」だけだった
ということに気づきました。

怠慢?驕り(おごり)??位置付けが違う???

「ある業務をマニュアル化できない」というのは、言い方は悪いですが

・怠慢
・驕り
・マニュアルの位置付けを間違えている

のいずれかだと考えています。

怠慢

一言で言えば、「マニュアルを作成したくない」というのが怠慢です。

・マニュアルを作るのなんて、面倒くさい
・マニュアルを作っても目先のお金(売上、利益)につながらない
・目先の時間が奪われてしまう
・そもそもマニュアル作成は面白い仕事ではない

など、いろいろな考えはあるでしょう。

そもそもマニュアル作成が楽しくて大好き!という人はあまりいないかと。

ただ、それを認めてしまっていいのかどうか、という問題ですね。

驕り(おごり)

「マニュアル化できない」には、

「自分の業務は、マニュアル化できるような簡単な、単純な業務ではない」
という驕りもあるように感じてきました。

・マニュアル化できるような簡単な仕事ではない
・高度な判断を伴う業務だからマニュアル化できない
・後から、マニュアルと比較して評価されたくない(評価されると困る!?)

こんな感覚(思い込み?)も強いのかもしれません。

マニュアルの位置付けをどう考えるか

詳しくは後述しますが、マニュアルの捉え方にも問題がある可能性もあります。

「マニュアル」といったときに、

・細かい業務マニュアル
・業務手順書のようなもの
・「課題=>対応策」のような一問一答形式のようなもの

だけをイメージしてしまうと、「それは無理」となってしまう可能性があります。

もしも本当にマニュアルとして具体化できないなら、それなりの理由があるはずですし、
それを明確にしたうえで、それを踏まえてのマニュアル作成を進める必要があるのだと
考えています。

マニュアル化できない業務はない

上述のように、基本的に会社における業務については、
「マニュアル化できない業務はない」
と考えています。

たとえば、マニュアル化できない理由が、

「いろいろなケースが想定されるため、すべてをマニュアルに落とし込むことはできない」

という場合もあると思います。

たしかに、
・いろいろなケースが想定される場合
・判断もケースバイケースの場合
などは、どこまで細かくマニュアル化するかは難しいところだと思います。

いろいろなケースが想定される場合

私自身が、以前からやっていて現在も続けているのは

・あらかじめ想定されるケースを整理しておく(一定のパターンに落とし込んでおく)

さらに、

・さまざま事例、起こった現象を記録として残しておく

ということです。

これらをマニュアルに含めるのではなく、事例集として別管理するのもアリです。

やればやっただけ、事例が集まってきますので、
マニュアルを見ながら参考にできる情報も増えていくことになり、
さらに生きた情報になるのではないかと思っています。

抽象度を上げてみるのも効果的

また、さらには具体的なケース・事例から少し離れて

「抽象度を上げて大きな方向性(思想、理念のようなイメージ)を示しておく」

ということも効果的です。

「マニュアル化できない」のであれば、「マニュアル化できる程度まで」抽象度を上げて、そのレベルでマニュアルを作るということになります。

ほんの一例ですが、クレームへの対応がマニュアル化しづらい場合、

最後の最後、思考の根底に
「お客様の利益を最優先に行動する」という判断基準(マニュアル)
があれば、判断を大きく外すことはないでしょう。

資金繰りに関するマニュアルを作る場合でも、細かい内容のマニュアルは作りつつ、
判断の基礎となるような
「大きな方向性(現預金の最低限保有水準、各金融機関との付き合い方など)を抽象度を上げて示しておく」
ことができれば、判断に迷うことも減ると思います。

人材育成に関するマニュアルを作る場合でも、
「どんな社員にどんな教育をするか?」
を個別にマニュアルで規定することは難しいです(社員もいろいろなので)。

であれば
こんな人材が必要=>そのために必要なスキルは〇〇
という大きな基準を作っておけば、それに沿った形で現場での判断もできるようになるのではないでしょうか。

マニュアルは「誰が作るか?」も大切

このマニュアル作成ですが、「誰が作るか?」も大切だと考えています。

ある業務に関する最終意思決定者が、部下などに

「マニュアルを作っておいて!」

と丸投げするのはちょっと無責任かもしれません。

自分自身が意思決定・判断していなければ、
マニュアルのなかに正しい判断基準、考え方を織り込むことは難しいです。

単なる業務メモであればよいかもしれませんが、たとえば
・〇〇のようなケースでは、△△の対応をする。
・XXの場合には、□□とする。
というようなマニュアルがあったとして

「判断=>意思決定=>行動」が必要な場合、
意思決定の基準が明確でなければ、マニュアル化することはできません。

その基準は
抽象度を上げてでも、意思決定者がきちんと言語化して伝える必要がありますので、
「マニュアルを作っておいて!」という丸投げでは難しいということになりますね。

このようにマニュアル作成は、手間もかかり、あまり楽しい業務でもなく、
気が進まないものではあります。

ただし、経営者や会社にとってマニュアル化が必要なのにも関わらず、
「マニュアル化できない」という理由でマニュアル作成を逃れることは
認めないほうがよいのではないかと感じてきました。

考え方次第で、マニュアル化は必ずできますので。

今後、社内で「マニュアル化できません!」なんていう発言を聞く機会があれば、

「それ、本当?」

とまずは確認してみるところから始めてみるとよいのではないかと考えています。


【編集後記】

10月1日から消費税率が10%にあがり、実務上「こんなときどうするの?」というのが いろいろと出てきているようです。
ある程度落ち着くまでは仕方ないのでしょうね。

【昨日の1日1新】
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