帳簿に載っていない負債(簿外債務)がどれくらいあるか?ざっくりとでも把握しておきましょう。

帳簿(財務諸表)に載っていない負債がどれくらいあるか?
強い会社、財務が健全な会社にしていくためには、一度は把握してみることをおすすめします。

帳簿(財務諸表)に載らない負債とは?

会社の帳簿には、原則として、全ての取引が載っていなければなりません。

・会社や経営者にとって都合が良いものだけを載せる。
・都合が悪いものは載せない。
なんていうやり方が認められないのは当然のことですね。

財務諸表の貸借対照表には、会社のすべての資産や負債が載っていることが大原則となります。

そうでなければ、第三者が決算書を見たところで、すべての情報が網羅されていなければ、正しい状況を把握することはできませんので。

とはいえ、実際のところ、会社によっては貸借対照表には載っていない負債(いわゆる簿外債務)というものも存在しています。

「意図的に」とか「悪意を持って」というわけではなくても、簿外債務は発生することがあります。

代表的なもの、分かりやすいところでは、
・退職給付引当金=>将来の退職金の支払いに備えるもの
・賞与引当金(未払賞与)=>近々(翌期などに)支払う予定の賞与
などが挙げられます。

なぜ帳簿外の負債(簿外債務)が?

なぜこのような簿外債務が発生するか?といえば、多くの中小企業の場合、財務諸表を作成するための基準が法人税ベースになっていることが大きな理由です。

つまり、税金計算のための財務諸表だから、ということになります。

細かい話は抜きにするとして、前述した「退職給付引当金」や「賞与引当金」などは、「将来発生することが見込まれる費用の見積り」であり、確定しているわけではありません。

このように確定していない費用は、法人税の計算をするときには、経費(損金)としては認められないことになります。

会計上、経費として処理したとしても、税金計算上の経費(損金)にならないなら、別に計上しなくていいか、という感覚があるのでしょう。

会社の状況次第で金融機関からシビアに見られる可能性はあっても、誰かからペナルティが課されるわけでもなく、損をするわけでもないので、そのままなのかなという気がします。

ちなみに上場企業など、財務諸表を外部に公表することが義務付けられている会社であれば、このような引当金を計上することが会計のルールで決められているので、貸借対照表には載せなければならないということになります。

まずは一度試算してみては?

簿外債務の影響について(例)

簿外債務があることの影響について、例えば、長年勤めてくれた従業員が退職するときのことを考えてみます。

この従業員に対して、中退共(中小企業退職金救済制度)以外に会社が退職金を支払うことになる場合、引当金がなければその全額を経費としてその事業年度に計上しなければなりません。
(中退共だけなら、会社が毎月費用計上して終わりなので、将来の負担は発生しません、念のため。)

長年勤めてくれたベテラン社員さんでそれなりの退職金(数百万円〜1千万円など)になると、損益に与えるインパクトもそれなりになってきます。

金融機関との関係性やいろいろな資格の関係上、赤字決算にはできないという状況だとかなり厳しいです。

せめて勤務期間中に少しずつ会計上の経費にしていれば、赤字決算を避けられたのに・・・ということもあるかもしれません。

まずはどれくらいの影響があるかを試算してみては

このような簿外債務ですが、「赤字になっても構わないし、別にそのままでいいんじゃないの?」という判断もありだとは思います。

ただ、「会社を強くしていこう」とか「財務が健全な会社を目指そう」と考えるのであれば、どれくらいの影響が見込まれるのかを試算してみる価値はあるのではないでしょうか。

もしかすると、自分が思っているほど自社が健全ではない(純資産が多くない)という可能性もありますので。

また、M&Aなどで会社の評価をするときには、簿外債務を債務として認識して評価することになります。

ですので、もしもいつか会社を売却しようかと考えているのであれば、
「こんなに純資産が低くなるのは想定外だった・・・」
なんて思わないためにも、しっかりと簿外債務によるインパクトを把握しておいたほうが良いです。

ちなみにいわゆる「未払残業代」があって従業員に支払っていない場合、将来支払いを求められる可能性があることを考えると、これも「簿外債務」となりますので、このあたりにも注意しておく必要がありますね。


【編集後記】

昨日は自宅から比較的近い場所にある焼き鳥屋さんで、ある紹介で知り合った方とお話ししてきました。
会合は楽しく、焼き鳥屋さんはとても美味しく、ということで充実した時間となりました(2週間ぶりにお酒も少々)。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

とりぞう南浦和店
ブランの焼きカレーパン


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