会社を継続させるならまずは税金を払える会社に。節税はそのあとからでも。

世の中では中小企業を中心として、赤字の会社が多いと言われています。

「いかに税金を減らすか?」は多くの人にとっての関心ごとではありますが、まずは税金をしっかりと払える会社にしていくことが大切だと考えています。

赤字会社の割合

毎年国税庁から、法人税の申告に関する概要が公表されています。

直近の発表内容によると、概要は次のようになっています。
(平成28事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要:平成29年10月国税庁資料より)

法人税の申告状況(平成28年度)

申告件数:約286万件(前年比101.3%)

申告所得金額:634,749億円(前年比103.2%)

申告税額:112,372億円(前年比98.7%)

*上記申告件数のうち黒字申告件数:約95万件(前年比104.8%)

*黒字申告割合:33.2%(前年比+1.1ポイント)

このように黒字申告割合でみると、申告した法人のうち33.2%(286万件のうち95万件)の法人が黒字申告だったということになります。

このデータをもって世の中の会社の7割が赤字というような表現をされているのを見かけることがありますが、実際にはちょっと違っています。

過去に赤字(欠損金)があった場合、翌年以降の所得からその赤字分を控除することが可能です(期間、金額には条件がありますが)。

で、この「黒字申告」というのは、この過去の欠損金を控除したあとに黒字であるということです。

たとえば

・前期は特殊事情により大きな赤字(欠損金あり):欠損金500
・当期は通常通りの業績で黒字:所得100

という会社の場合、前期の欠損金が大きいため当期の税金計算では所得は0となります。
(所得=当期100-欠損金500=−400<0 ∴0)

この会社は赤字会社なのでしょうか?

税金計算上は黒字申告ではありませんが、当期(単年)でみれば所得が出ている会社ということになります。

その意味では、
黒字申告でない7割の会社が、単年で利益が出ていない赤字会社であることにはならない
ということになります。

欠損金を除いた場合の黒字申告割合

少し前のデータになりますが、高松国税局が公表している平成27年度のデータがありました。

*黒字申告割合:29.4%

*欠損金控除前の黒字申告割合:56.2%

黒字申告割合は約3割ですが、過去の赤字分(欠損金)を除いて考えると、6割弱の法人が単年度では黒字(所得あり)だったということになります。
(所得と利益が必ずしも一致しないという細かな論点を除くとして)

高松国税局のデータではありますが、全国でみても似たような傾向になるのではないかと思います。

「7割の会社が赤字」というイメージとはずいぶん違いますね。

「7割の会社が税金を納めていない」という表現は間違っていませんが。。。

会社を継続させるなら税金を払える会社に

税金を納めていない7割の会社が
・税金を納めたくないと考えているのか
・利益が出ない状況なのか
については、はっきりしたことは分かりません。

「節税第一」でなんとか利益が出ないようにしている会社も一定数ある気はしますが、頑張ってもなかなか利益が出ないという会社も当然あると思います。

会社を「継続させる」「発展させていく」ことを考えるのであれば、とにかく税金を払える会社(=黒字の会社)にしていくことが大切です。

税金を払ってこそ、会社にお金が残っていくことになりますので。

節税?体質改善?優先順位をしっかりと

上記のように「黒字にすることが大切」なんて、そんなの当たり前じゃんと言われそうですが、あまり整理されていないこともあるのではないでしょうか。

・利益が出やすい体質ができていない
・利益の振れ幅が大きく安定しない
にもかかわらず、いろいろな節税策に手を出して税金を減らしているような。。。

結果として納税額が減らせたとしても、会社が強くなる方向に進んでいるのかどうかは意識しておく必要があると思います。

場合によっては、節税策を提案するいろいろな会社を喜ばせているだけかもしれません!?

会社で利益が出そうになると、なんとか税金を減らせないかなと考え始めるのは自然なことですが、何を優先すべきか、しっかりと考えながら進めていく必要があるのではないかと考えています。


【編集後記】

そろそろ花粉が気になる季節が近づいてきました。
ゴルフを快適にプレーするために何をするか。
今年初めて試そうと考えているのが、R-1、ワセリンですが、もう少しいろいろと調べてみようかと思っています。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

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