自己資本比率とは会社の強さを表す指標。気にする必要がない会社も!?

自己資本比率とは何を表すものか?
いろいろな表現の仕方がありますが、一言で言うなら「会社の強さ・財務の安定性」を表す指標」ということになります。

自己資本比率とは?

自己資本比率は次の計算式で求めます。

自己資本比率=自己資本/総資産

「自己資本」とは、文字通り、自己の資本であり返済しなくてよいものです。

この逆が「他人資本」で、借入金や買掛金などの負債で返済(支払)が必要になるものです。

自己資本比率とは

会社の総資産(総資本)のなかに「返済が不要な自己資本」がどれくらいあるか?

を示す指標ということになります。

会社の強さを表す指標という意味

自己資本比率が「会社の強さを表す指標」になるのは、自己資本が大きくなればそれだけ返済不要な資本が増えることになり、資金ショートや倒産の可能性が減るからです。

いくら利益が出ている会社でも、現金が足りなくなれば倒産してしまいます。

逆に言えば現金さえあれば、赤字が続いても倒産せずに生き延びることができます。

そのため
・返済しなくてよい自己資本が多い
・返済が必要な他人資本が少ない
というのは、会社がつぶれにくくなるという意味で、強い会社になるための大切なポイントであるということになります。

自己資本比率アップのためには純資産を厚くする

以前の記事で、会社を強くするためには純資産を厚くしていくことが大切であると書きました。

会社の強さを表すのは貸借対照表の純資産〜しっかりと厚くしていきましょう〜
財務諸表は最初にどこを見るか? 人によっても状況によってもいろいろですが、パッと見て会社の強さを判断するには、貸借対照表の純資産の部を見る...

純資産とは貸借対照表の右下の部分です。

純資産=自己資本とは限りませんが、中小企業では両者が一致しているケースが多いのではないかと思います。

もしも純資産の部の中に「新株予約権」「非支配株主持分(連結会計)」があれば、それらを除いたものが自己資本になりますし、これらの科目がなければ、純資産=自己資本ということです。

いずれにしても、自己資本比率を高めるためには純資産を厚くしていくことが大切であり、その結果として会社が強くなっていくということになるわけです。

自己資本比率の目安?

自己資本比率の目安としては、50%以上あることが望ましいとよく言われています。

半分以上が返済不要の資本であれば、なにか問題が起こったとしてもある程度の期間は持ちこたえることができるという判断なのでしょう。

書籍や書き手によっては、60%以上が望ましいなんて書かれているものもあるようです。

なお、中小企業庁の「中小企業実態調査(平成27年度)」によれば、調査対象となった中小企業の自己資本比率(全産業の加重平均)は38.8%だったようです。

産業別では
・情報通信業:59.5%
・製造業:43.6%
・小売業:33.3%
などなど。

ではこれらが50%未満だから良くないと言い切れるのかというと、そうとも限らないのが難しいところではあります。

自己資本比率は高ければ高いほど良い?

結論としてズバリ言い切れないのですが、50%以上が望ましいとはいえ、業種や規模、会社のステージや今後目指すべき方向性によっても変わってきます。

例えば製造業で
・会社が成長するためには設備投資が必要
・設備投資の資金は借り入れでまかなう
といった場合、借り入れによって自己資本比率が下がることが想定されます。

ですが、この投資が会社の成長にとって必要なものであれば、結果として自己資本比率が下がったとしても会社にとってはプラスのはずですし、実行すべきものでしょう。

結局のところ、
・自己資本比率を高めるように意識することは、方向性としては正しいし大切である
・ただし、そのことだけに縛られる必要はない
というバランスの取り方がポイントになるのだと考えています。

このバランスというのは、自己資本比率に限らず、多くの経営指標にも言えることかもしれませんね。

ちなみに、「会社を強くする」ことを前提に書いていますが、
・会社を強くする(大きくする)必要がない
・いまのままなんとなくいければよい
・税金を払ってまで会社を強くするつもりはない(!?)
という考え方であれば、自己資本比率や純資産のことを意識しないというのもアリだとは思っています。

「どこを志向するか」を決められることが経営者の醍醐味ですから。


【編集後記】

昨日は、今年初めて税理士試験を受けた友人の科目合格祝いの飲み会でした。
これで年内の飲み会は一段落。今月は比較的飲み会の回数が多かったので、年末年始に向けて少し節制しなければ。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

膳菜酒 塁


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