会社が消費税で「損した感」を避けるなら税抜経理方式がおすすめ。消費税率10%になったらなおさら!?

会社が納付する税金にはいろいろなものがあります。
そのなかで「消費税」については、納付するときにちょっとした「負担感」「損した感」を持つ人が多いかもしれません。

消費税の負担感

会社で決算がまとまり、納める税金が確定する段階になると、
消費税、結構払うんだね・・・
という会話をすることがちょこちょこあります。

会社だけでなく個人でもこの時期、確定申告で所得税と消費税の納税額が固まると、「消費税が・・・」なんて会話になったりします。

で、この消費税の「負担感」「損した感」というのがどこからくるのだろうか?と考えてみると、「納付する税額の見当がつかない」ということからきているのではないかという気がしています。

会社の場合、利益が出たらだいたい30%くらいは法人税を納めるのかな、というイメージで捉えている人が多いと思います。

事業年度が終わって100万円の利益が出ていれば、法人税などで30万円くらいはらうのかな、とか。

1,000万円の利益が出たから法人税が300万円くらい、中間納付で100万円払っているから期末は200万円くらい払わないといけないのか、とかとか。

一方、消費税の場合、原則的な方法で計算しようとすると、「いくら消費税を払うの?」が分かりにくいケースがあります。

消費税の処理方法による感じ方の違い

消費税には、税抜経理方式・税込経理方式の2つの処理方法があります。

消費税の税抜経理と税込経理。どちらを選択するかの影響は消費税だけではない〜消費税の基本を確認8〜
消費税の経理処理には2通りの方法があります。 1つが「税込経理方式」、もう1つが「税抜経理方式」と呼ばれる方法です。 消費税の税込経...

・税抜経理方式:消費税抜きの本体価格と消費税を分けて処理する方法
・税込経理方式:消費税込みの金額で処理する方法
です。

例えば、本体価格100,000円、消費税が8%で8,000円の商品を現金で仕入れて、本体価格200,000円、消費税が8%で16,000円で販売するとします。

税抜経理方式では、次の仕訳になります。

仕入 100,000円   / 現金 108,000円
仮払消費税 8,000円 /

現金 216,000円  / 売上  200,000円
          /  仮受消費税 16,000円

それに対して、税込経理方式では、次の仕訳になります。

仕入 108,000円  /  現金 108,000円

現金 216,000円  /  売上 216,000円

細かい話は割愛しますが、消費税というのは
預かった消費税から支払った消費税を差し引いて、残った消費税を納付する
(逆に、支払った消費税の大きければ還付してもらう)
ことになります。

税抜経理方式の場合、処理時点で「仮払消費税」「仮受消費税」が計上されているので、

預かった消費税(仮受消費税)-支払った消費税(仮払消費税)=納付する消費税

となり、非常にシンプルに把握することができます。
(実際にはいろいろと計算するので、こんなにシンプルに済まないケースも含まれますが)。

一方の税込経理方式の場合、処理時点において、ぱっと見では納付する消費税が分かりません。

預かった消費税=216,000÷1.08*8%=16,000円
支払った消費税=108,000÷1.08*8%=8,000円
納付する消費税=16,000円-8,000円=8,000円

このように計算して、初めて納付する税額が分かるということになります。

「損した感」を避けるなら税抜経理方式。税率10%ならなおさら!?

前述のように
・税抜経理方式:日々の処理で消費税が見えている
・税込経理方式:日々の処理で消費税が見えていない
という違いがあります。

そして、税込経理方式の場合、決算時に納付する消費税を計算して、

租税公課 〇〇円 / 未払消費税 〇〇円

なんていう処理をするわけです(中間納付などややこしいものは除きます)。

決算時まで見えていなかった消費税がいきなり登場し、利益は下がり、お金は出ていくということになります。

そうなると、なんとなく「負担感」「損した感」が出てきてしまうのも理解できますね。

逆に言えば、このような「損した感」を避けるために、税抜経理方式を選んでおくというのもアリだと思っています。

決算時に利益が減ることもありませんし、なんとなく普段から仮払消費税と仮受消費税を眺めていれば納税額のイメージも湧きやすいので。

税抜経理方式が認められないのは?

ちなみに、この税抜経理方式が認められない会社があります。

それは消費税の納税義務がない会社(免税事業者)です。
そもそも消費税を納税しないわけですから、分けておく必要もありませんね。

消費税率が10%になると、「想定外の消費税」がさらに増えてしまう可能性があります(単純に考えても預かる消費税が8%から10%に増えるわけなので)。

「期末に消費税がいきなりドン」というのが、「損益情報」「お金」ともに気になるようであれば、少し手間はかかっても税抜経理方式への変更を検討してみてもよいかもしれません。


【編集後記】

昨日、あるスーパーの屋上駐車場から出るために精算しようとしたところ、千円札が何度やっても入ってくれません。で、よく見ると、「機械の故障で千円札は使えません」という張り紙が(しかも結構古そうな張り紙で)。。。
間が悪いことに小銭がないということで、バックで戻ってから駐車し直し、店内で再び買い物して小銭を作ってから車に戻りました。
自分が不注意で気づかなかっただけなのかもしれませんが、「早く言ってよ〜」ですよね。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

ある顧問先まで車で訪問
キャンドゥ


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