多くの会社では社員に対して通勤手当を支給していると思います。
その場合の消費税の取り扱いを確認します。
「通勤手当は非課税」の「非課税」とは?
通勤手当は非課税。
「通勤手当」と聞くと、条件反射的に「非課税」という言葉が思い浮かぶ人は結構多いのではないでしょうか。
経理や総務等の実務経験がある人のほうが多いかもしれません。
この「通勤手当は非課税」という認識は正しいのですが、
なにが非課税なのか?
をしっかりと認識しておく必要があります。
一般的に、「通勤手当は非課税」というのは、
「所得税の計算上(給与の計算上)では非課税」
ということです。
つまり、通勤手当を受け取った側で
その通勤手当が給与として取り扱われる(所得税が課される)ことはない
ということです。
たとえば、給料30万円、通勤定期代3万円で合計33万円を給料として受け取る場合、給料として所得税が課されるのは30万円に対してだけ、ということになります。
この通勤定期代3万円に対しては所得税が課されることはありません(その3万円が通常必要なものであると認められる場合に限りますが)。
これがまさに「通勤手当は非課税」ということです。
通勤手当を支給する場合の消費税の取り扱い
では、通勤手当を支給する場合の消費税の取り扱いはどうなるかというと、消費税では課税取引になります。
通勤手当を支給するときに
(借方)旅費交通費 (貸方)現金預金 3万円
という処理をする場合、旅費交通費3万円は消費税の課税対象として「税込3万円」と考えることになります。
たとえば、会社が税抜経理方式を採用している場合、「旅費交通費3万円」というのは
「(借方)旅費交通費 27,777円」と「(借方)仮払消費税 2,223円」
に分かれるということになります。
通勤手当は
所得税の世界では「非課税」
だが
消費税の世界では「課税」
ということですね。
会計ソフトで勘違いしないように・・・
このことを理解したうえで、会計ソフトへの入力には注意が必要です。
仕訳を会計ソフトに入力する場合、多くのソフトでは「消費税区分」を選択することができると思います。
このときに、「通勤手当は非課税」という、ある意味で不完全な情報が頭に残っていると、消費税区分を「非課税」「非課税仕入」「対象外」など、消費税の対象とはならない区分を選択してしまう可能性があります。
実際には課税取引ですから、正しいのは「課税対応仕入8%」など、課税仕入の消費税区分を選ぶ必要があるわけです。
勘定科目の間違いであれば、最終損益に与える影響や税金計算への影響がないため、多少は仕方ないかな、で済ませることができます。
ただ消費税区分を間違えてしまうと、損益情報、税額ともに間違えてしまうことになるので、避けたいところです。
「通勤手当は非課税」
ではなく
「通勤手当は所得税では非課税、消費税では課税」
とおさえておくことで、処理間違いを防げるのではないかと思います。
通勤手当で所得税が課される場合はどうなる?
ちなみに、「通勤手当は所得税では非課税」ですが、例外的に「非課税」にならないケースがあります。
「通常必要であると認められる部分」は非課税ですが、逆にいえば、それを超える金額は所得税が課されることになります。
たとえば、新幹線通勤自体は「非課税」ですが、グリーン車の場合には「経済的かつ合理的」とは認められないため、給料として所得税が課されてしまいます。
では、このように所得税が課されるような通勤手当を支給する場合に、消費税の取り扱いはどうなるでしょうか。
結論としては、このようなケースでも消費税としては課税取引となります。
グリーン車のチケットを買う場合や定期を買う場合でも、お金を払うときには消費税を支払うはずです。
そのように考えると、当然といえば当然のことではありますが、なんとなくごっちゃになりやすそうなので念のため、ということで。
【編集後記】
昨日は、とあるご夫妻と久しぶりの情報交換会で、楽しい時間を過ごすことができました。
お互いに拠点を移動した結果、偶然にもかなり近所になり、不思議な縁を感じています。
【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら
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