採用では「持っている資格」ではなく「何ができるか?」を判断基準とすべき理由

社員を採用する場合、「持っている資格」を基準に判断するのは楽ですが、先入観を持ちすぎると判断を間違える危険性があります。

「何ができるか?」をしっかり見極めないと、ミスマッチによりお互い不幸になりかねないので注意が必要です。

経理部門に関連のある資格

例えば経理部門で社員を採用する場合に、次のような資格を持っている人は、即戦力あるいは優秀(なはず)と判断しがちではないかと思います。

・簿記◯◯級
・税理士
・公認会計士
・米国公認会計士

実際に、資格を持っていて優秀な人はたくさんいます。

しかし、資格を取ったという意味では優秀でも
・経理部門ですぐに戦力になるか。
・会社が求めている人材像に合っているか。
というのは別問題であるということを理解しておく必要があると考えています。

資格だけでは判断できない理由

改めて書くほどのことでもないのですが、資格があっても実務ができるとは限りません。

簿記2級だけでは経理の仕事はできない

これは私自身が経験したことです(簿記2級を勉強した頃、営業の仕事をしていました)。

簿記の勉強で、例えば減価償却費の計算をする場合には、固定資産の取得価額、償却方法、耐用年数などの条件は、あらかじめ与えられていることが多いです。

そして、その与えられた条件に従って計算するわけですから、よほど複雑なものでない限り、試験で間違える可能性は低いです。

では、その勉強をしていれば経理部門で固定資産や減価償却費の計算ができるかといえば、決してそんなことはありません。

実務では、計算する前に次のような条件を確定させなければなりません。
・固定資産の取得価額がいくらかを計算する。
・償却方法を検討する。
・耐用年数を検討する。

このように
・簿記の試験:与えられた条件をもとに計算することがメイン
・実際の経理業務:計算するための条件を確定させるところから始まる
という大きな違いがあります。

このギャップを埋めるには、実務経験を積むなど、実務で使える知識を学ぶ必要があります。

これを理解せずに「簿記2級を持っているなら経理の仕事がある程度できる人」と判断してしまうと、後から「こんなはずではなかった」ということにもなりかねません。

いまだに忘れられない質問(経理未経験で簿記初心者のころ)

私自身、簿記の勉強を始めて間もない頃に受けた質問をいまだに忘れません。
・減価償却費ってどういうものについて計上するものなのか?
・減価償却費って強制的に計上しなければいけないものなのか?
・減価償却の具体的な計算方法は?

今となってはなんてことない質問ですが、経理未経験で簿記の勉強を始めたばかりの自分にとっては、じっくりと考えたことがなく、即答できない質問でした。

そもそも簿記の勉強では、上記の質問は、全て条件として与えられていたこともあり、計算方法は知っていても、その計算のための条件がどのように決められているかについては、詳しく学んでいませんでした。

「勉強と実務は違う」ということを理解する良いきっかけとなった出来事でした。

税理士や公認会計士でも同様

簿記の資格に限らず、税理士や公認会計士でも同じようなことが言えるのではないかと考えています。

公認会計士は会計や監査の専門家とされていますが、自分自身で決算をしたことがない公認会計士は意外と多いはずです(監査法人では主業務が監査なので当然ではありますが)。

税理士は税務の専門家であり会計の知識も必要とされていますが、やはり自分自身で決算をしたことがなかったり、申告書を作ったことがないという税理士もいます。

このようなことが悪いということではなく、実態がそうだということです。

それを理解しないまま、単に資格を持っているというだけで経理部門などで採用しようとすると、ギャップが生まれてしまう可能性が高くなってしまいます。

資格を持っているかどうかは1つの目安にはなりますが、自社が必要としている人材であるかどうかは、「資格+実務経験」「何ができるか」をしっかりと見極めて判断することが必要です。

採用だけでなく外部専門家との契約も同じ

また、資格だけで判断できないのは、社員の採用だけでなく、外部の専門家との付き合いでも同じことが言えるのではないかと思います。

例えば、税理士として活動している人もそのバックグランドは様々です。
・税理士試験合格者(税理士事務所経験者、一般企業経験者など)
・大学院で一部科目を免除された税理士試験合格者
・税務署OB
・公認会計士
・弁護士

誰がスゴイとか偉いとかの問題ではなく、同じバックグランドでも「何ができるか?」「何が得意か?」は人それぞれです。

・まずは資格や肩書きだけでは判断できないということを理解し、
・しっかりと相手の中身を見極め、
・見極められているか自信がない場合には、第3者にも意見を聞いてみる。
ということを心掛けるだけでも、かなり違った判断が出来るようになるのではないかと考えています。

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【編集後記】

とりあえず2ヶ月の予定でパーソナルジムに通い始めて半分が経過しました。
やや停滞期ではありますが、あと1ヶ月、頑張らなければ。。。

【昨日の1日1新】
*「1日1新」とは→詳細はこちら

ニュースマスターズ聴取

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